変身譚録

人が何かに変身する作品について話してみる

新年明けましておめでとうございます…した

本年もどうぞよろしくお願い致します。

ということで正月も終わっちまいましたね。
犬TFのイラストでも描こうと筆をとったんですが、さっぱりダメでした。

今回は簡易なご案内程度で。

過日紹介しました『魔法使いの嫁』、前回放映からその次とその次辺りがチセの変身回ですかね。若干テンポの悪いアニメなのでしんどい方もいるかもしれませんが、恐らくシーケンスが描かれる、あるいは納得の行く変身具合であると判断できる可能性がありますので、是非見てほしいところです。おちりがかわいいんですよ、おちりが。

また完全に余談の域を出てないのですが、以前からこの方はコチラ側では、と思っていた藍本松先生の『怪物事変(けものじへん)』、メインキャラクターの中に狸や狐と人間のハーフみたいな立ち位置のキャラがいる事を一巻無料のキャンペーンで読んで知りました。もともと『MADDY』という意思と感情を持ったゴーレム(泥人形)がかなりいい感じの変幻自在さを出している他、猫と人間を掛け合わせようとする実験の話などもあり、肉体の変容や種を超えた交わりについて描いていくタイプかもしれないとは思っていたので、続刊を買っていく予定です。
またまったくの余談中の余談ですが『ハクメイとミコチ』のアニメが始まっています。こちらものんびり小人生活を楽しめるいい本がアニメ化で、さらに本日新刊も発売されています。今からアマゾンでポチります。

ということで新年のご挨拶でした。

今年はいっぽんくらいTF作品を出したい所存。TSFかもしれんけど。

『とつくにの少女』人間性の喪失と特異点達の日常

どうも、職場には慣れたけど仕事の内容が結構複雑…そんな感じであわあわしてる日々です。


今回は『とつくにの少女』です。
マッグガーデンの中でも特異点化している作品のような気がします。

comic.mag-garden.co.jp

pixivコミックでも連載中ですね。25日にマグコミで更新中なので雰囲気だけでも読んでみるのも良いかと。


ざっくりあらすじ。

外つ国と内つ国が隔てられた世界。そこでは人間達が外つ国にいる外の者を恐れ、内つ国の壁を高く、門を固く閉じて生活していた。シーヴァもまたそう教えられてきた人間の少女であるが、彼女はセンセ(先生)と呼ぶ外の者と暮らしていた。先生はシーヴァに決して私に触れてはいけないと事あるごとに告げながら、ともに生活をしていくが…

 

という何とも味わい深い絵柄で綴られるお話です。ながべ先生はケモノ系同人誌や獣人系BLの商業誌も出しているのでご存知の方も多いと思うのですが、この作品はかなり異質で、トーンは少なく、ベタと白とのコントラストや、静かな書き込みによって成されている作品です。まさに、絵本の体裁とでも言いましょうか、コマも見やすい感じです。

 

先生の見た目が、鳥の骨に角と短い被毛を与えて真っ黒に塗りつぶしたような感じなのが可愛らしいです。
元より先生は自分が元人間であるということらしく、黒い外の者となっていった自分の様子について記憶しています。後に現れる外の者の登場で、本来語られている外の者は何かによって魂を集めているらしい事、先生は外の者にとっても異質であることも分かります。またシーヴァはその外の者に触れられてしまいますが、後述する呪われた姿になることはありませんでした。

 

最近になって、シーヴァのおばとの再会がありました。もちろんその為に先生から離され、最初は悲しんでいましたが、おばが元気づけていることを無駄にすまいとしていたようです。しかし、そのおばが外の者へと変わってしまいます。おそらく原因はシーヴァであろうと思われる描写もあり、村中が外の者の襲撃で阿鼻叫喚となる中、二人は先生の待つ家へ逃げて行きます。
おばの変身はシーケンス自体はありませんが、衝撃的です。彼女の手が真っ黒に染まっているコマ、そして呆然としたその顔は、古い哺乳類のように前へ突き出た顎の骨と、水牛のような角を持った、先生のスマートさに比べて無骨なものでした。
これが呪われて外の者になるという事のようです。

また2017/12の更新でカラスのような頭を持った外の者と化した兵士が二人現れています。感染する変身、痛みや死のない体への変貌がもたらすストレスの具合が見え隠れしていてなかなか面白い感じです。強い執着を持った彼が今後どうなるのか…と見所は尽きない感じです。

シーヴァは何故大丈夫なのか、先生だけはなぜ他の外の者と違って記憶を失っていかないのか、という特異点による物語。
今後も楽しみなので紹介してみました。
再び内つ国の人間が外の者となるようなシーンがあれば御の字、なくても楽しめるかと思います。

『とつくにの少女』でした。

現代の『変身ものがたり』渡辺ペコ

どうも、新しい職場で慣れられるかなぁと思いながらのんびり日々お仕事の研修をしています。
ちょっと前の『もふかのポプリ』の更新ご覧になりました?
変身後の躊躇いでお風呂に入れないとか可愛すぎるでしょ…そして尻尾穴開けまくったりとかさ…服…ちょっとあとで項目に更新入れておきますね。

てとこで、今回は『変身ものがたり』です。『にこたま』の広告を見て思い出したのでのんびり語っていきましょう。

まずはいつもの試し読みページ。

と思ったら『変身ものがたり』は試し読みがないんですね。
紹介ページだけはあるようなのでまずそちらを。

www.akitashoten.co.jp


しかたないのでシーモア(私が契約してるからですが)の試し読みをば。

www.cmoa.jp

個人的には『ランダバウト』好きなんですよね。ジュブナイルとか学園もので空気が悪くなってる感じ、嫌いじゃないから。あと『1122』と『にこたま』はレディコミだと思ってないで一度読んでもいいと思います。

というのもですね、この渡辺ペコさんという作家の方は、生々しいくらい如実な人の心理や心境というのをぶつけてきます。綺麗事で済ませない話を出してきて、そして綺麗事で終わらせない。絵柄の爽やかさ、軽やかさと裏腹に非常にキツいテーマできます。

『変身ものがたり』は八つの短編集からなる変身譚です。
ざっくりどういう経緯で何に変身するかを書き出します。
「平成人魚」ある日突然現れた人魚と名乗る女性、彼女は確かにある少年が昔助けた人魚だった。彼女は人間社会並みに色々と進歩している人魚の世界に別れを告げ、あの時の少年の元へ向かう。人魚→人間。
「狼少年」アトピーに悩む主人公(男子高校生)はある日「どうせなら綺麗な毛皮だったらいいのに」と思い込んだ折に身体が変化していることに気付く。アトピーを気にせず走り回る楽しさで公園を駆け回った後、戻るところを女子高生に見られてしまい…人→狼(四足歩行)で最後は不可逆です。
「したのうえ」主人公はある朝楽しい夢を見たな、と思いながら起きると、口の中で舌がくるくるピチピチと音を立てながら回転していた。話すこともままならないながら、彼女はマスクをして会社に出かけていく。ポリープを取るので、取ったので、と誤魔化すが…変身というよりは状況の変化です。
「毒りんごパイ」母親とソリの合わない主人公(女子大生)。食事に行くことになった折、友人の男を連れて行くことにする。母はあなた好きだったわよね、とりんごのパイを持ってきていて…こちらも状況の変化、上記のものより全然柔らかいです。
「毛玉」同棲中の彼女が身体中から毛が生える病気になった。次第に毛の量が増え、小さくなって行く彼女。最後には小さな声がする目玉だけになってしまう…人→毛玉。ちょっと不気味。
「はらの顔」主人公の腹にはずっと顔のようなあざがあった。ある日そのあざは話しかけてきて…人面疽のような話。
「黒い人」出版社に勤める主人公。ある日残業中の夕飯の買い出しに出かけると、都市伝説のはずの黒い人に遭遇する。しかし彼は主人公の名前を呼ぶのだった。人→文字。ホラーだけど切ない。
「変身不全」最初のお話の元人魚と男の生活の話。勃起不全に陥っている彼には悩みがあった…勃起を変身と言っていいのか。いいんでしょう。男の人にとってある種切っても切れない一つの本性をさらけ出す事象だものね。

 

といった感じで、全てのエピソードが何かの変容を扱っています。
もちろん我々的には「狼少年」が一番グッときちゃうのはどうしようもないのですが、それ以外も少女漫画やTLコミック、あるいはレディコミとはちょっと違った日常にある静かで波の小さなネガティブな感情と、それによって次第に引き起こされる大きな波のようなものを描く作家さんだと思っていて、それがなんとも魅力的何ですよね。
私は庄野潤三の『プールサイド小景静物』とか好きなので、こういうノスタルジックで重みのある話が好きなんでしょう。
「狼少年」が最後に狼から戻らないで、彼女を待つ選択をした時に、彼は今後どうなるのだろうということに長い時間思いを馳せていたことを思い出しました。
あまり元サヤだったりハッピーエンドだったりしないところがいいのかもしれません。

ということで、『変身ものがたり』でした。

ほぼ趣味の話の『PSYCHO-PASS』とちょっと雑談

どうも、転職活動も終えられて、脱ニートにつき連続更新はこれで最後になりそうです。

編集とちってしばらく過去の日付に投下されてましたので上げ直しました。やらかし!

二ヶ月くらいでしたか、概ね60作品ほど上げてきましたが、そろそろネタも尽きてきつつ(というか調べたりする時間が長くなりがちなものが多いというか)あるのでいい頃合いです。
まとめるのが難しいものとかもあるので、一度シメ、ということになりますね。
たくさんの閲覧ありがとうございました。
生まれてきてこういう何かの発表で充実感のある閲覧数、要するに自己顕示欲を満たせたのが久しぶりで、ちょっと興奮しながら更新してきました。
今後は思いついた時に思いついた作品の話をぽろっとするくらいになると思います。
日頃はtiwtter二次創作アカウントkedamono_0k0FGOとかディズニーとか創作の話をのんびりつぶやいています。PSYCHO-PASSwikiとかもなんか作ってるなぁっていう感じです。
TF方面は気が向いた時にhasubamiというアカウントでぽろっとしたりしています。今後TFでテーマを絞ったアンソロジーを出す予定があります(お金の問題で2017年中に出せなかったですね…)。
また概ね今後はFGOをメインに同人誌を出す活動をしますが、同時にフォウくんのきぐるみとかでモフモフと歩き回る予定でもあります。
よろしければ遭遇してみてくださいね。コミケには行けるのかしら…。二日目以降はコスゾーンに出てみるつもりですが。

そんなところで、今回は『PSYCHO-PASS』にスポットを当てたいと思います。
このブログは基本的には肉体の変容を扱うものなのですが、私が現在二次創作の同人誌を出している『PSYCHO-PASS』にも
対外的視点からの動物化
改造動物化
がありますのでそれについて述べて見ます。
いずれもホロが必要な状態ですが個人的に好きなので(色相は濁るけど)あげてみます。今回はかなりグロテスク寄りなので、苦手な方は閲覧を控えたいただけると良いかもしれません。
人がモフモフとかツルツルになるんじゃなくて、人体のまま動物に改造されている形ですので。
あと刊行から1年以上している本なので、不文律?のネタバレ禁止を破っておりますが、ご了承いただきたい。
それこそが語るべき要素なので。

 

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『下水街』『夜に虚就く』下水街とその様相

どうも、今回は『下水街』『夜に虚就く』です。

先に言っておきますとR-18コンテンツの紹介なので、
18歳未満の方は目を通さないように。
警告を破った場合は自己で責任を負うことに同意したものとしますね。
(こんな文章にどれほどの拘束力があるかわかりませんけれども)

 

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『Fate/Grand Order』来ましたねー豚化!

どうも、今回はついに『Fate/Grand Order』(以下FGO)にはっきりしたTFが実装されたのでその記事になります。
以下はオケアノスのキャスターのネタバレになります。

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『七ツ風の島物語』厳密には獣→獣ですが

このドマイナーなゲームは後々まで私に影響しているんですよね。
どうも、今回は『七ツ風の島物語』(以下『七ツ風』)です。

セガサターンでスクエアから発売されたゲームであり、
また雨宮慶太監督作品です。『牙狼』の人っていえばわかる人もいるかも。
もしセガサターンの互換機が出たら真っ先に買うなぁと思っているのもこのソフトのためですね。
現在は移植予定もなく、スクエニのサイトに形骸だけ残ってます。

七ツ風の島物語 | SQUARE ENIX

しかし私はこのゲームはキャラクターの存在が素晴らしいことを声を大にして言いたい。

で、いつものあらすじをば。
殻に覆われていた竜人はその殻を破って飛び出してきます。しかし羽が大きくないため地面に落下。自分が空の浮島にいたことを知りますが、それ以外のことはよくわかりません。カバンに入り込んだタネを植え、大きな樹木に扉が出来上がり、導かれるようにその中に入ると竜人は閉じ込められてしまいました。そこで奇妙なドアの上の顔に話しかけられた竜人は、世界の事が記録されている本に触れます。そして自分の名前や好きなものや嫌いなものを思い出した竜人はそれを本に記録しました。
そして物語は作られて行くことになります。というようなお話。
ということで動画その他をば。

www.youtube.com

全体的にアニメなんですが、ムービーがストップモーションだったりキャラクターのグラフィックの書き込みが半端なかったり、また『moon』や『聖剣伝説レジェンドオブマナ』にあるような異世界言語による会話がなされています。その中でも倫理などの感覚がかなり違っていて、異世界っぽさの要素が強い作品とも言えます。

http://www.crowdinc.com/special-7.html

本家雨宮慶太監督のサイト。キャラデザインの多彩さと精彩な筆致がたまんないんですよ、表情も可愛いし。
で、このキャラクター達が存在する世界には全ての生物が必ず経験する変身があります。その話をしたいわけです(笑)
この『七ツ風』の舞台となる島にいる生き物は、概ね「前身年」「さなぎ」「後身年」というプロセスを経ています。主人公ガープも元はとても大きなドラゴンでしたが、さなぎになって生まれ変わった姿はフクロウを彷彿とさせる小さく可愛い手足を保った中年男性のような(なんか書いてると全然可愛くない)生き物、竜人として活動を始めます。登場するキャラクターの中には今が前身年の者もいればすでに後身年の者もいます。その差はあまりわかりません、実際に作中で大人になるのはイール、モール、ムール、シールというボールのような芋虫の兄弟だけなので。ただ、さなぎになると前の事は名前、好きなもの、嫌いなものを除いて忘れてしまいます。イール達も例外ではなく、羽化したあとは世話になった竜人には目もくれずに飛び立ってしまいますし。また概ね後身年の方が人に近い体型になっているようです。

変身とは関係がないのですが、それぞれの動物の動きがまた非常に秀逸です。個人的には足が多ければ多いほどすごくいい動きをする、とだけ伝えたいところ。
また収集要素が楽しいゲームでもあり、全シナリオをクリアした後にグラウ竜という竜の骨を集めるイベントもあります。

さらに脱線ですが、トモダチの一人である少年キスケは後身年です。彼はそれをゲーム中で語られる訳ではないのですが、『ガナパの手』という世界観を同じくした作品に登場します。カタムというハサミの手を持った機械の世界の少年と、ヤタムという指の手を持つ木を植える世界の少年が、ガ(我)と呼ばれる怖い生き物から生まれたハーフというどちらの世界も同時に見ることができる生き物の出来損ない(目をガに入れてもらえませんでした)が関わることでお互いの手が入れ替るところから話が始まります。カタムの世界のスイッチは機械の世界の王様しか押せなかったのですが、カタムにも押せるようになりました。ヤタムの世界の木を切る事が出来るのはハサミをもった人形だけでしたが、ヤタムにも切れるようになりました。やがて二人が見つけた不思議なトリガー(スイッチと木)によって二人はガとの戦いに赴くことになっていきます。
二人の少年が最後にたどり着くのが七ツ風の島です。その島でさなぎになったヤタムとカタムは、一つになってキスケとして後身年に入る訳です。

どちらも日常急いでいる人ほどゆっくり楽しんで欲しい、というより、『七ツ風』はキャラクターの行動が遅かったり、切り替えや入れ替えなど時間がかかりやすく、どんなに焦っていてものんびりクリアすることになります。また『ガナパの手』はノリとハサミで本を切りながらでないと読み終えられない(でももったいなくてコピーですませちゃいましたけど)ので、こちらも非常に時間がかかります。
非日常時間を過ごすのにピッタリですし、前身年と後身年での思考や行動のあたりも面白い要素だと思います。

 

もし、セガサターンがあって、もしくは時間とお金があるなら、是非楽しんでいただきたいです。

ということで『七ツ風の島物語』でした。