変身譚録

人が何かに変身する作品について話してみる

『ラマになった王様』間の抜けた生き物としてのラマ

どうも、今回は『ラマになった王様』です。
ディズニーですから大体の人は見ていると思いますけれども、結構マイナー作品でもありますので、もし見ていない方はこれをきっかけに是非。

 

ラマになった王様』はタイトル通り、インカっぽい感じの国の若い王様が、あまりにもわがまま放題で嫌味っぽく人望がなかった上、気分で自分の腹心になるはずの魔女をクビにしたことから起こるコメディです。TFするキャラは実は二人。シーケンスがあるのは主人公のクスコのみです。
ということでまずクスコのTFシーン。

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2分19秒くらいから。
コレはねー、『ピノキオ』に次ぐよさだと思うんですよ。結構シーケンスはコメディっぽさが押し出される感じではあるけれど、この表情の変化、ちょっと顎をしゃくって喋る仕草の瞬間にラマの顔の形に変わるコマが挟まれているのがすごく、グッときます。
できれば少しこう、コマ送りっぽくして一度は見て欲しいところです。非常に良い。
視界高くなったの気付けよとか、蹄に触った時にさすがに分かるだろとか、
ツッコミどころは多いんですがこれは圧倒的に良いわけです。
というかラマの描写が他のシーンにあるんですが、
ディズニーでいうところのロバのような表現、
半分まぶたを落とし、ゆるみ気味の口元とほおを動かしてゆっくりと草を咀嚼する、
ちょっとシワっぽい感じの生き物。
全体的に下に重心のあるもったりとしたフォルムも含めて、
ようするにちょっと間の抜けた生き物、のんびりした生き物という風に描かれています。
あと変身後が好きな人はこの動画も見るといいと思います。

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ラマになるシーン、本当は暗殺される予定だったのに毒の調合が失敗していて(イズマの横のマッチョ、クロンクが間違えたんだったかな?)、殺す代わりにラマになってしまった。そしてクロンクは追い出せと言われてクスコを袋詰めにし、そのまま捨てたところ…↑の動画のパチャと出会います。
パチャに喋るラマだ!?と驚かれたクスコの自身を確かめるシーンは非常に悲哀に満ちていますが、ラマの形のせいでどうにも滑稽。
こういった不憫と滑稽の同居は居心地の悪い笑いを誘ったりしてくるものです。
しない? そう?
私はこの羞恥心に近い居心地の悪さが、私が「させられたい」方の気持ちに強く作用していると思います。

 

イズマのTFはこちら。

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ボンッて一瞬なのであのイズマが可愛い子猫ちゃんになったっていうギャップを楽しむくらいですかね。

見たのは大学生くらいになってからですが、本当このシーケンスはもうちょっと早く、というか劇場で見ておくべきだったかなと思います。
なんとなくTMNTアニメのエイプリルのキャットウーマンに近い何かを感じるので、映画館だと完全にセルフ羞恥プレイの様相です。いやぁ…本当これはちょっとしたエロスですよ。

 

ということで、『ラマになった王様』でした。