変身譚録

人が何かに変身する作品について話してみる

『Momo』『Hachi』『Banbi』獣人の生きる世界のBL

お久しぶりついでに日付をまたいでもう一つ記事を投稿しましょう。
どうも、諸々まとめは後ほどになります。
今ねFGOの虚月館殺人事件の推理で頭いっぱいなんだ、ちょっと休みたい。
マジ誰だよ〜!

てわけで関係ない話はこの辺にして。
タイトル通り、3つの同じ世界観のBLをご紹介したいと思います。

まず『Momo』。
こちらで試し読みができます。

www.cmoa.jp

シリーズの最初の作品である『Momo』。
モモ、とはフランス人のライオンの獣人です。
この作品の世界には、感情の高ぶり(人によってどの感情かは違うようですが)によって肉体が動物との間の子のようになる人種「獣種」がいます。人類に対して数は少ないようです。
ド級ドジッ子オーナーの流星にメロメロで、流星との愛を育むことに余念のない(ただし嫉妬や勘違いやすれ違いでよくお互いにアタフタしている)獣種のモモなんですが、モモはもともと性格がやや歪んでいるので、すぐ流星に意地悪なことを言ったりします。
ただ、この世界に置ける獣人は万能な存在ではなく、むしろ獣化すると不器用になったり、感覚が鈍くなったりしてしまいます。
さらに、モモは幼少期に怖がられて避けられていたという経験があるだけに、流星がトロくてもドンくさくてもモモにひたむきな感情を向けてくれることには応えようとします。
正直ストーリーの意味では「ああ〜801!すごい!801!」って気持ちになるのですが(私は恋愛のヤキモキも好きなんですが、紹介すると三行で終わっちゃいそう)世界観の構築や、モモが「流星さんが可愛い!」という気持ちが爆発して獣化するのはなかなか可愛くてイイです。

二作目が『Hachi』。

www.cmoa.jpこちらは流星のお店「エトワールフィラント」で働く、味覚障害のパティシエの名前です。彼は高校時代からの先輩である大熊とハナビと再会することで、過去に大熊、ハナビとの奇妙な関係を思い出していきます。
『Momo』に比べて3Pや互いの恋愛の温度差ですったもんだのドラマがあるのがこちら。
この中でハナビがハリネズミの獣種なのですが、表紙の絵からもわかる通り、わりとハリネズミらしい体型をしています。
なお変身のトリガーは落ち込んだり気持ちが塞いだりすること。
普段はハチよりも背が高いのですが、獣化すると非常に小さい。
体格が大きく変わるタイプの獣種は時々研究機関に行く必要がある、との記述もなかなかディープでそそります。獣化すると頭が痛くなったりするとか…
正直大熊の性格が奔放すぎでオメーが引っ掻き回してんだなってすぐわかる感じです。
なおハナビはちっちゃくても攻めです。可愛い…!

三作目が『Banbi』。

www.cmoa.jp

いつもBambiじゃねえの…?と疑問ですが置いときましょう。
実は二作目でハチが結ばれるのがハナビです。
身を引いたと言うか二人のイチャラブを見守ることにした大熊のお話になりますが、視点は主に鹿野(バンビ)です。
鹿野が可愛いめの男子であったり、私立校の生徒であったりすることから、小学生の時の失態(それも大熊がやらかしたことに驚いてのこと)を引きずる同級生に、激昂したところ変身して獣種であることが露呈する、という、バンビにとって大変辛い経験から、大熊を許せない(本心では許したい)、というところからお話が始まります。
大熊と久しぶりに再開し、次第に惹かれて…と書くとまぁ王道なのですが、割とバンビの勘違いが激しかったりちょっと強引にBL展開に持ち込まれている感じ。
そしてクマすがたのおせっせがないんですよね…そこだけは残念。(前二作はケモノ姿のおせっせがしっかりある)

上記三作品は変身自体はポンッなんですが、世界観がしっかり作り込まれていて、モモをはじめとした獣種の生活という話もちょこちょこ出てきたり、ハチの変身後の話やバンビが変身するたびに服を破ってしまう(これはモモもだけど)というあたり、生活に苦労しそうだなぁ…とかしんみりできるところもいいです。
以前紹介した『SEX PISTOLS』の斑類みたいに、人間より優位、というわけでもない当たりや、『COYOTE』のように敵対しているわけでもなく、一種の変わった人(たまにあらぬ誹りを受けたりもする)という視点が、このシリアスさを生み出しているのかもしれません。

以上、『Momo』とその連作でした。