変身譚録

人が何かに変身する作品について話してみる

マイケル・ジャクソン『スリラー』のMV

どうも、今回も説明不要ですね。
マイケル・ジャクソン『スリラー』のMVです。
まずはもう見てください。ノーカットだと結構長いんですけど。

www.youtube.com

メイキングも公開されています。見所は14分あたりからですが、ゾンビメイクもめっちゃ面白いから最初から見てほしいなぁ。

www.youtube.com

ご存知の方も多いと思いますが、マイケル・ジャクソンの『スリラー』という曲のMVです。こちらは劇中劇とその後の話という二段構えの変身の構成です。
最初はオーラ・レイ演じるマイケルの恋人とマイケルが狼男映画を見ている(が、登場人物は同じくオーラとマイケルなので劇中劇の中で恐らく恋人の男女を示しているのだろうなぁと思ったりしています)シーン、こちらでマイケル・ジャクソン人狼化シーケンスが見られます。そして映画の内容とマイケルが面白がっていたことに不満たっぷりのオーラが帰り道にゾンビに遭遇、しかし助けを求めたはずのマイケルもゾンビ化していた…という楽しいホラービデオ。
オーラの怖がり方がまたキュートなんですよね…ビバヒル2にも出てた気がする。おぼろげですけど。

シーケンス描写についてはMV自体が非常に良質です。そりゃーリック・ベイカーですものね!というところで、つまり『狼男アメリカン』の特殊メイクを手がけた方が担当してるのです。そして監督がジョン・ランディス。まったくほとんど『狼男アメリカン』といって差し支えないでしょう。いや、もちろん演出や音響などの細かい話をすれば別作品なのですが、こと表現の中核である監督と、特殊メイクという表現の技法の意味では何よりも本格的な人狼を作り出した二人が関わっているのです。これでいい表現にならなかったら嘘でしょう。
さらにはメイキングでどのようにモコモコと皮膚が浮き上がる表現をやっているのかを見ておくと別の意味で興奮できると思います。結構方法としてはアナログ。そりゃまぁ30年以上前ですもんね…あの、ポンプで跳ねるカエルみたいな感じで空気の袋を合成皮膚の下で膨らませるという方法、結構いいなぁと思います。実践可能ですね、ラテックスで皮膚を作って、メイク用のノリで顔にくっつけつつポンプの先の袋を仕込む。見た目のアラを気にしなければ気分だけでも楽しめそうなものです。

以下は私の話です。
狼男アメリカン』前後に見た覚えがあるのですが、やはり怖がっていたように感じます。そもそもマイケル・ジャクソンが苦手になってしまった瞬間でもありましたが、それはのちに東京ディズニーランドのアトラクション『キャプテンEO』で払拭されます。『キャプテンEO』もちょっとした変身描写がありますね、別に人から人みたいなものなので紹介はしませんが、女王の邪悪な姿から女神に変わるシーンは感動します。あとフーターが可愛い。逸れました。
後年改めて見ると狼というにはあまりにもマズルが短く、『ティーンウルフ』からちょっと進化したかな?という感じ。今見ても十分に変身しているなぁと思えるのがさすがです。メイキングでマイケルの声でアウ〜って言ってるのはちょっと笑えますがこれまた可愛い。動きについてはどこまでもマイケルなので、どうしても特有のクセが出てますね。
狼男アメリカン』ほど惹かれないのですが、やはり私の根幹に近い部分にある作品ではあります。しかし今見て性癖に刺さる…!と思う『狼男アメリカン』に対して、シーケンスすげー、で終わってしまう『スリラー』。単純に変身の対象が世界的なポップシンガーだからなのでしょうか。それとも変身の携帯なのでしょうか。いずれにしてもシーケンスの意味では大変好きな作品の一つです。

 

というところでしょうか。以上、『スリラー』でした。