変身譚録

人が何かに変身する作品について話してみる

『KANABALISM』の獣化

どうも、今回は田中加奈子(現たなかかなこ)作『KANABALISM』の紹介です。
おそらく長年のジャンプ読者なら知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
同じ肩の『身海魚』もそのうち。

 

読み切り集なのでツボにハマらない作品がある方もいると思うんですが、個人的には全部TFネタがぶっこまれててグッネス。
ということで目次を書き出して全部ざっくり紹介します。そのあとブログ的にツボにハマりそうな奴をさらに紹介。

 

『龍鬚虎図』…虎化(ただし元が人間の姿の精霊的なもの)
『洒落市』…白骨化
クリーチャーズ』…虫化(ほぼ人)虫の人化(進化なのでシーケンスなし)
『コタンコカムイ』…狼化(シーケンス1コマあり)動物と人間の間の姿の描写あり
『三獣士』…大人化(厳密には子供化)

 

ということで『龍鬚虎図』『コタンコカムイ』の2作品の紹介です。
クリーチャーズ』も紹介考えたんですが、ほとんどTF描写ないのでなんか…別の…なんかで紹介しようかなって。実際私はこの5作品全部紹介したいくらい好きなんですけども。

 

『龍鬚虎図』のざっくりあらすじ。
龍鬚虎という龍の髭を持つという人食い虎を描いた絵がある街の美術館で展示されます。友人と一緒に観にきた哲郎は龍鬚虎図に描かれた美人の女性に見惚れます。哲郎は父親が高名な画家であり、そのプレッシャーに辛い思いをしています。龍鬚虎図の女性の絵を自分なりに描くもそれに水を差された形で反感を抱き、その気持ちのまま再び美術館を訪れます。龍鬚虎図の女性に安堵を覚える哲郎、その時その絵から声がします。あたなの心に…直接…話しかけている…形です。周囲の人は奇異の目を向けますが、哲郎は気にせず女性と会話を始めました。
彼女は哀楽(アイラク)と名乗り、哲郎は歓談をするために美術館に通います。友人は不思議に思いますが、他の友人に女でもできたようだと笑って聞かせます。その折に、その哀楽と同じ姿の女性を街で見かけたという話が出ます。勉強もせず、絵も描かずに美術館へ通い詰める哲郎に父親は叱責しますが、今までの不満が爆発した哲郎は話も聞かずに美術館へ走ります。また哀楽と会話する哲郎。しかし絵から血のニオイがします。
それから龍鬚虎図に血や髪の毛と以前と違う部分が見られることに気付く哲郎。そしてある日、虎の口に生首があることに気付いて吐いてしまいます(美術館の中で)。すると哀楽は絵から抜け出して生身(?)になり、絵の虎が本物であり、ある高名な絵師によって絵の中に閉じ込められていると話します。その給餌のために絵師の息子が描きたしたのが哀楽であり、彼女は虎の餌になる若い男を犠牲にし続けていたと告白されます。
そして虎が空腹から哀楽に早く餌をよこせと念じます。哀楽は左顔面と左腕を虎に侵されて変形しながらも絵を燃やすよう懇願する哀楽。哲郎は別れに悲しみながら絵を燃やします(美術館の中で)。
以下略!
オチは自分で読んで欲しいが故に。

哀楽の変身はほんの数コマというかぶっちゃけ4コマでしか確認できないんですが、これがまたイイ…美人という設定に違わぬ美しい女性なので、それが虎の毛皮をまとっているのはなかなかソソります。また左腕は哀楽のサイズに対して大きく、そのアンバランスさがまた非常に良いです。たまらん。
手塚賞入選も納得の仕上がりでした。

 

『コタンコカムイ』のざっくりあらすじ。
コタンコカムイとは村を守る神、という意味です。そしてその神様は梟から選出されます。メス梟のタイマイはある人間に助けられた恩返しのため、見事選出のための試合を勝ち抜き、樹木の女神であるシリコカムイから神の証のタシロとマキリ(山刀と小刀)、そして助手のヨンギャというエゾフクロウを授かります。
村の様子を見るために飛び立つタイマイ。しかし移動中に森でさっそく森のナワバリへの侵入に人間を襲うオヤシ(人間魔)を見つけ、タシロとマキリで応戦します。狼のオヤシにトドメを刺そうとすると、その狼ヂンベエの母親であるという老婆が現れ、殺さないで欲しいと懇願します。すると狼の頭から首あたりまでが二つに割れて、中から一人の青年が姿を現します。その青年が自分の恩人であることに気付き、タイマイは動揺します。
逃げるヂンベエを追うこともできず、村で話を聞くタイマイ。彼が傲慢な力のひけらかしである千匹狩りを行なったためにオヤシへ変生したことを知ります。しかし自分を助けた青年との乖離に首を傾げます。そして先ほどの老女に出会い、ヂンベエは気が荒かったがフクロウだけは狩ったことがないことを聞かされます。
その頃、森ではコタンコカムイ(とは知らない)に付けられた傷が言えないヂンベエが、狐のシュマリに案内されてきた熊のカオヤペに森の主導権を乗っ取られていました。
夜、ヨンギャがトイレに立ってからノックに気付いたタイマイは外に出ます。そこにはヨンギャの翼に牙を押し当てたヂンベエの姿が。そこで村を出るように要求されたタイマイは仕方なく後についていきます。村の外でヨンギャの翼を一噛みしてから返すヂンベエに、なぜそんな人間になってしまったのか問いただすタイマイ。ヂンベエは梟を助けたことが元で千匹目の獲物を狩ってしまったことになり、オヤシに身を堕としたと告げます。助けられた時に人を魔物にしてしまっていたことにタイマイはショックを受け、その場から飛び去ってしまいました。
シリコカムイにコタンコカムイの証を返すタイマイ。その頃村ではタイマイがヂンベエに攫われたという誤解から男が総出で森に向かっていました。ヂンベエは村が女子供だけであることに気付いて村に走ります。しかし村は既にカオヤペを頭領としたオヤシの群に襲われていました。
異変に気付いたタイマイはシリコカムイに千里鏡を借りて状況を見ます。人に襲いかからんとするオヤシの前に立つヂンベエ。彼は他のオヤシから人間を守るために森から追い出し続けていたと分かります。そしてコタンコカムイをまだ信じていると聞いたタイマイはコタンコカムイの証を既に持って行っていたコヌヌカ(オスの梟)から取り返し、村へ向かいます。
村では既に戦いが始まっていました。しかしカオヤペから致命傷を食らって腹に大穴が開いたヂンベエはそれ以上立ち向かうことができません。カオヤペの飛ぶ爪(ポプニアム)が村人を襲おうとしたその時、タイマイが到着して梟の力でオヤシ達の魔力を封じます。形成が逆転し、魔物達が逃げ出し始めた頃、ようやくタイマイはヂンベエとの誤解を解きますが…

以下略!

 

美味しいトコロは自分で!読もうね!
これ毎回言ってるけどもういいかな(笑)
人→獣のシーケンスは1コマです。ですが非常によいです、身体の内側から獣性が吹き出すような形になっています。人自身が持っている獣性が顕在化するということをその1コマで現しています。
また動物の体が二つに割れてその間に人間の体が現れる描写ですが、これもまたグッネス。二つに割れる、というのは本当に真っ二つに割れていて、脳や舌、口腔内の組織がドクドクと脈打ってる様子が見えます。その表現があるのは主にヂンベエ、シュマリ、カオヤペで、人間より小さな狐でもその様子が見られます。またその状態のヂンベエは前足とは別に手が描写され、その手は半分人間、半分狼が斑に混ざり合っています。しかもちょっと粘液っぽい感じて、くっついて人間部分が隠れる時は粘液が跳ねているような描写が成されます。
そんなわけですごく、こう、珍しい形の人間と獣の行き来があるので、レアリティ的な意味でも絶対保管しておきたい作品でした。

ということで『KANIBALISM』の紹介でした。
その他の連載作品にこのあたりの要素があまり引き継がれていないのが残念です。
今後も何か連載やお仕事があれば…いつか…!と思わざるを得ません。

 

 ところでこの作品の中でも『クリーチャーズ』『コタンコカムイ』はチンコ率が高い。
シルエットor白抜き人チンコが多発する『クリーチャーズ』。めっちゃくちゃ気になる。クリーチャーズはウーライの犬属性的な献身に心を打たれまくるんだけどどう見てもチンコ描いてあって当時小学生だった私には刺激が強かった。エッチ…!!と思いながらガン見していたのも良い思い出。多分この時初めて商業誌でチンコの描き方ってこういう感じなんだ!?っていうのを知ったのだと思います。
犬チンめっちゃ見えてる『コタンコカムイ』。しかも時々ヂンベエめっちゃ巨根になってる。ヂンベエは黒いベタで描かれているので最初はシルエット…?と思っていたんですが違った。チンコだった。すごいびっくりした。その頃にはもう犬チンの様子がどうなっているのか図鑑とかである程度把握していたけれど、それでもビックリしました。
そんなわけで今の週刊少年ジャンプには載せられないんじゃないかってくらいチンコしてるので気になる方はどうぞ。どうぞ