変身譚録

人が何かに変身する作品について話してみる

『+anima』獣度は高くないけれど…

どうも、今回は『+anima』についてです。

 『フォーチュン・クエスト』や『ワンダル・ワンダリング!』の作者の方が描いた獣人を扱うファンタジー漫画です。絵柄は可愛いけれどファンタジー世界ならではの子供達の苦境のようなものが生々しく、読んでいて若干のしんどさを感じました。

www.amazon.co.jp


恒例のおぼろげあらすじです。
獣人達は総称して「+アニマ(プラスアニマ)」と呼ばれています。
その姿はほとんど人間であり、概ね人間として暮らすことができるほど普通です。どこにでもいる子供でしかありえません。
しかし、体のどこかに紋章があり、その紋章を中心に獣化して肉体になんらかの動物の特性を現します。
旅をしている少年クーロは、サーカスの人間の前で本来隠しておくはずの鴉の+アニマであることを露呈したことで、体良くサーカスに囚われ。しかし人魚のハスキー少年と知り合ったことでそこから逃げ出し、二人は自由の身になります。一人どこかへ逃げようとするハスキー。しかしクーロのしつこさに負け、共に旅を始めます。
旅の途中でクマの+アニマであるセンリ、コウモリの+アニマであるナナと出会います。
その過程で、読者は+アニマは子供にだけであり、また何かの危険の際に発生することを知ります。ハスキーは池に突き落とされた時に、センリは父親に殺されかけた時に、ナナは酒癖の悪い父親に夜の森で追われた時に、また途中に現れるモブの少年は逃げ場のない闘技場の中で、唯一開いていた空へと飛び立つために、それぞれ動物の肉体の一部を獲得していました。

さらには身の危険がなくなった時に、+アニマの力が失われることも知ります。
しかしクーロだけはわからないままです。
やがてクーロが育った孤児院へ寄ることになり、+アニマの力を研究所で取り除くという人物が現れます。
クーロ以外の三人はそれを断ってクーロの元を去り、クーロはその人物との約束によってアニマの力、ひいては自我を失います。そして……

という大体+アニマの力を中心にしたアウトラインについてお話ししました。実は最後どうなったのかよく覚えていません。多分クーロは元に戻った…んだと思うんですけど。

+アニマが苦しんだ子供にだけ発生する身を助ける能力であることや、その危険が去った時に力が失われること、そして+アニマが社会的には非常に不安定な存在であることなど、見所は多い作品です。
クーロは肩から手の甲までが羽毛に覆われ翼が現れます。
ハスキーは喉にエラ、下半身が魚になり、
センリは右腕だけがクマのもの(というには爪がやたらに大きいですが)になり、
ナナは耳がやや大きく、背中に小さな羽が現れる。
そういった小規模な変化ではあるのですが、中には下半身が鹿の首から下になるタウル型のキャラクターもいたりと、容姿は様々です。
また+アニマを見世物にする人間や研究対象とする人間がいる一方で、+アニマについて理解があり、受け入れている人物もまた存在します。
そして概ね+アニマの少年達は生きる為に必死ですし、その力で切り抜けられることには全力でぶつかっていきます。とはいえ大人の理不尽にも晒されることにもなりますし、結構切ない。

ということで、獣化の度合いとしてはそれほどでもないのですが、そこに起因するストーリーとしては非常に面白かったです。
今度最終話だけどこかで読もうと思います。
あ、全10巻BOOK OFFで1冊100円です。立ち読みもできるので是非これは読んでみてほしいですね。