変身譚録

人が何かに変身する作品について話してみる

『狼男アメリカン』との出会い

何はともあれ私の始まりの話をします。

初めて人が何かに変身する話で私に大きな衝撃を与えたのは、タイトルにもあるように『狼男アメリカン』でした。

 

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Wikipedia

狼男アメリカン - Wikipedia

 

YouTube(変身シーンのみ)↓ 

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ざっくりとしたあらすじなどはリンク先を参考にしていただくとして、YouTubeの変身シーンは当時3歳児だった私を大いに震え上がらせ、その日からしばらくは夜眠れない日々が続くほど怖がりました。

当時の私は狼男はもちろん、吸血鬼やゾンビ、魔女、フランケンシュタインに至るまでホラー要素とされるものはとにかく怖かった時期でありました。故に今こうしてホラー映画やゲームを楽しんでいるのにはそれなりの変遷があった訳です。そして始まりは父母ともに映画好きであったことが起因します。

私は幼心にデヴィッド・ケスラーの変身を何度も脳裏に描きました。それは怖いものほど想像してしまうという領域のものではありましたが、今に至るまでかのシーンを克明に思い出せるのはその為かと思います。

 

とにかく、これで幼かった私は初めて人間が狼に変身するという事象に出会います。程なくマイケル・ジャクソンのスリラーのPVも見る事になり、それはそれは怖がりました。

 

後年、私は改めてこの『狼男アメリカン』と向き合いました。DVDが普及し、母が懐かしい映画を集め始めたのがきっかけです。

画質の綺麗な世界で、CGのない時代の人力による生々しい変身が見えたのは非常に興奮を誘いました。ジリジリと形を変えていく手足、胸から腹部までがおよそ人間のそれではない形になってしまって、狼狽するデヴィッド・ケスラー。狼になってしまってからは自我を失い、市街地で、地下鉄で、何人もの人間を食い殺します。

悪魔的な狼男として猛威を振るう一方で、目覚めたら全裸で動物園の狼の檻にいたり、そこから脱する為に子供から風船を騙し取り、ベンチにかけてあった女性物のコートを拝借し、拾った小銭を手にバスに乗るようなシーンもあります。ゾンビと化した自分の被害者と友人に悩まされ、自首めいた行動も虚しく、最後は映画館での大量殺人の末、猟銃に倒れます。

一連の流れはまさに狼男映画、という王道感。そして変身が明るい場所で行われることにより、視覚的に伝わる肉体の変容。映画製作関係者(確か監督)がインタビューで「変身のシーンは勃起をイメージした」などと言っていたので、それはより私にとって「燃える!!」となる要因となりました。男体化やふたなり化にも強い興味がある事にも繋がりそうですが、ここはひとまず人狼化。

変身後の姿は細めのクマか毛の抜けたマレーグマのような姿ですが、どことなく愛嬌のある様子でもあります。人に似てるが何かの動物である事は確かな何か、という感じがまた私には好ましい訳です。

 

そんなわけで、私にとって人生の大きな部分を変えてしまった出来事は、恐怖と密やかな興味で終わりました。この後加速的に変身に関する作品を見つけ、その印象の強さに徐々にある確信を持つようになっていきました。

 

これが、私の根源になる映画でした。

 

(なんか書き足りないので多分いずれ追記します)