変身譚録

人が何かに変身する作品について話してみる

【コラム】変身願望を持つ人々(3-A)特にコスプレときぐるみについて

コスプレまたはきぐるみのアンケートの結果について

アンケートの回答ありがとうございました!
というわけでお久しぶりです、集計結果をどう表示して行くか悩んでいました。
結果的にスクショとコピペしかできませんね!という感じだったので、今回更新分で全部掲載してしまおうというところです。

というわけでまずはざっくりとどんな人たちがコスプレ・きぐるみをやってるの?という問からです。

以下は先に出て来る方がコスプレ 後から出て来る方がきぐるみです。
なお、きぐるみの方でちょっと間違った方(持っていない・やっていないのに回答している方)がいましたが、今回はめんどくさいので全部含めます。
また非常に長くなるので、今回はA、B、Cの2回に分けておきます。
ちょっと長いので27問を3回にしてますので、根気よくお読みいただければと。
なお、私は別に統計学とかをやってるわけじゃないので、個人的な観測範囲や所感や雑感を盛り込みまくってますので、数値や割合だけ見ておくのがいいかもしれません。

問1:回答者の性別性別

コスプレ(112名回答)

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きぐるみ(87名回答)
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これは私の予想をちょっと外して来ました。
コスプレはやはり男女比ほぼ1:9で間違いなかったのですが、
きぐるみの方は意外なことに男女比2:1という状態でした。
正直にいうと真逆を想像していたので意外な事実です。
これにはおそらく昨今のきぐるみ界隈で、女性が増えていることが一つの要因であると考えています。
あるいは今回RTに協力してくださったのが、概ね女性参加者(またはイベント運営サイド)と繋がりが深い方が多かったのかもしれません。
正直いうと男女比2:1は、イベントに行く限り、実感ないですね…もしかしたら多少きぐるみの人たちの方が協力的でなかった可能性もあります。めんどくさいもんね。

問2:回答者の年齢

コスプレ(112名回答)

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きぐるみ(87名回答)
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どちらもメインの年齢は26〜30歳、独身である程度お金に余裕のある層になりました。
次点が30〜40歳、とのことなので、概ね26〜40歳までの方が半数以上ということになりました。
意外なことに、どちらも始めた年齢は19〜22歳が多いのですが、上は40歳以上の方が10%前後はいらっしゃるというところで驚きました。

私の主観ですが、上記の結果は、どちらもおそらく趣味として定着していったことで、高年齢化しているものと考えられます。
全体的にイベントにかかる金額は似たようなところ(参加費、移動費、宿泊費、食費、諸雑費等)だと考えているので、やはり衣装代・きぐるみ代に余裕を持って優雅にお支払いできる金額の方が多いのでしょう。
これは衣装やきぐるみの出来栄えというところへのこだわりに、自己の技術で間に合わない場合にどのようにするか、あるいはこだわりに対してどの程度金をかけるか、という部分もあると思いました。

問3:回答者のコスプレ・きぐるみ歴

コスプレ(112名回答)
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きぐるみ(87名回答)
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コスプレの方は概ねわかりやすい分布となっています。
〜6年の方、概ね2010年代からの方は、ある程度先人がコスプレとはかくあれかし、と色々な手本を残してくれている世代かと思います。
この方達の参加が今後のコスプレの世界の広さになるのですが、現状ではそれほど多いとは言えない状況のようでした。
7年以上の回答は、コスプレになんらかの楽しみを見出して続けてきた人たちと思います。ロケ地を探し、会場を探し、各種自治体への申請や雑誌の興隆を見て来たことは、必ず何かに活かせるでしょう。変遷の多い時代を遊んで来た世代です。

この点、概ね分布が順繰りになっているところ見ると、コスプレの世界も若干の少子化のようなものを感じざるを得ません。10年以上の方が3割というのは、若さガーと外野の人達がいうのとはだいぶ乖離した現実かと思います。辞めた人がどれくらいいるかも知りたいところです。
ついでにコスを始めた年齢も合わせて聞けばよかったかもしれませんが、やはり7〜10年またはそれ以上が半数、という部分においては、概ね先述した世代の人たちがコスプレ黎明期から揺籃期、というか成長期に活動していたからでしょう。
現在のコスプレは趣味として定着した安定期のような部分にあると考えられますので、一番成長のある自体を駆け抜けていた人たちと考えることもできます。
自然なことですが、先駆者がその技術を売る、ということで成り立つ商売というのは様々なジャンルに見られますので、先ほどのお金がかかる、という部分もそれなのかもしれません。

一方、きぐるみの方の分布は黎明期を開けたばかりの揺籃期の様相を呈しました。
〜6年目の方は概ねイベントを楽しむ余力がある人たちでしょう。この世代は日本のきぐるみイベントの立役者「とらんすふぁ」の後にきぐるみの世界にやって来た方が多く、それぞれ自分のスタイルに合ったイベントへの参加が可能な世界にいました。また主催陣が各種イベント運営のためにボランティアを依頼することで、イベント運営のノウハウも持ち始めていると思います。そうでない人はイベントでの振る舞いを身につけている頃なので、今後も活躍して行く人たちだと思います。そういった人たちが、今回は半数という結果になりました。
そして7〜10年以上のほぼ古参とも言えそうな方もかなりの数を締めました。この方達はほぼ自作世代であり、かつ現在は提供者側にいる人も多くあります。
もっというと、すでに企業となっている人もいたりするので、コスプレと同じくそういう世代、と言えそうです。
年齢と合わせると

今回のアンケートではコスプレ界隈は若干の少子化傾向、きぐるみの正解は成長期が終わっていない様子が伺えました。
今後、コスプレは既製品が売れなくなって来るあたりが一つの終焉となり、きぐるみはまだ人工的に伸びるかなぁ、という感じがしました。
とは言えコスプレ人口がほぼ9〜10万人前後と考えれば、すぐになくなったりはしないでしょうけれども。世界規模のお祭りとかもやってるしね。

問4:自分と着るキャラクターの性別

コスプレ(112名回答)
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きぐるみ(87名回答)
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さて、こまごまとしてわかりにくいのですがざっくりと述べます。
コスプレにおいて、自分と違う性別のコスをする方が多い〜その傾向がある方が65〜67%くらいです。逆に同じ性別では同様の計上で25%でした。
きぐるみにおいて、自分と違う性別のキャラを着ることが多い〜その傾向がある方は22%程度に止まり、同じ性別の方は同様の計上で63%ほどにもなりました。
これはある種の表現の差と考えています。
コスプレは概ね憧れるものへの同化傾向が強く、その対象になりきるベースが他者によって用意されている状況と考えられます。なので、異性への憧れから同化としてのコスプレを選択することは特段不思議でもないな、と考えます。
一方きぐるみは、自己の発露の側面が大きいと考えられ、きぐるみやケモノの世界にはファーソナ(Furry〈講義のケモノ・動物全般を指す〉+Persona(人格)=Fursona〈ケモノとしての自己〉)という言葉もあるくらいですので、自分の中にあるケモノとしての性格(悪い言い方をすれば媚びた態度の露出や)や外見を表現するための手段としているケースが考えられます。必然性があるかどうかは別として、このことから今ある自己と合わせて同性のキャラクターとして身につけることが多い傾向と考えました。
そんなわけですので、今回個人的にはほぼ想像通りの結果が出たと考えています。

問5:利用したことのある入手経路

大変申し訳ないです。
このデータが活用できる形式にならないというか、グラフや集計がうまく作成されず、調整も試みたのですが掲示が難しくなってしまいました。
しかし傾向としては次の主な入手経路と同じだったので、そちらを参照してください。

問6:主な入手経路

コスプレ(112名回答)

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きぐるみ(87名回答)
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ちょっと見辛いですがご勘弁を。
きぐるみの方はなぜか持ってない人が2人くらいいるので色々除外したいところですがまぁ今回は置いておきます。
コスプレ、きぐるみとも、最多なのは自作でした。
その次に購入があり、次点で友人からの譲渡、といった感じです。
この辺は程度の差はありますが基本的には共通するところで、お金があるけど時間がない!となりがちな社会人が多いことを予想させるような感じになっています。
しかし、利用したことのある入手経路(上記問5です)では、
きぐるみはやはり自作が最多であるのに対し、コスプレでは購入が最多の回答を得ています。
同時に、上記の表でも顕著な差として、コスプレは自作と購入の差がほとんどないのに対し、きぐるみは購入が自作の半数以下に収まっている状況があります。
これは、おそらく同じモデルを使用した遊びを行うか、オリジナルにこだわり抜くか、という側面の差ではないかと思います。
できれば綺麗で画一化されたものを、自分なりのイメージするメイクで着る、ということなのかもしれません。またコスプレには一部だけコスする、という選択肢がないんだなぁ、とここでぼんやり考えた次第です。
きぐるみにはハーフスーツという概念があり、頭と手足、尻尾のみで動くこともまたありえるからです。

問7はコスプレときぐるみ、それぞれちょっと違う質問になっています。

コスプレ問7:ジャンルの傾向

コスプレ(112名回答)

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これは完全に思った通りというか、ハマったものがほぼ85%でした。
ヲタク文化のうちでもアニメは現状非常に移り変わりが早く、次点でソシャゲの移行スピードは目をみはるものがあると思います。
そうすると、その場のノリと衣装の難易度でコレだ!と跳びつける姿勢というのが、ある程度どの層の方にもあるのかもしれません。
これについては後述もするのですが、コスプレの方はジャンルを変遷して行くのに対し、きぐるみは1キャラ〜3キャラくらいで固定のキャラを着る方が多いという話にも起因しそうです。大体のコス衣装が2〜3万円も出せば十分な質のものを買える、というのも、ハマったものならなんでも、に起因するのかもしれません。
カテゴリ固定の方は、おそらく自分がコレが好き、という部分がはっきりしているのではないでしょうか。私も一昔前はほぼゲーム固定だったのでなんとなくわかります。
仲の良い友人という方も趣味の一致があると思うので、なるほど、という感じです。
考えたことはない、というのもまたハマったらそれをやるかな、みたいなように受け取りました。
逆にオリジナル、自作のキャラというきぐるみでは一番の覇権を持つ部分が最小値(1人)という結果でした。また、本当に好きな作品、そのキャラに合いそうな衣装、というこだわりの見える方もいらっしゃいました。
こう考えると、コスプレはやはり原作の土壌ありき、という感じですね。

きぐるみ問7:きぐるみのキャラクターの傾向

きぐるみ(87名回答)

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おそらくコスプレの方も相当数みられると思うので、ここは一つ一つ解説していきたいと思います。

最も多いのはアニメやマンガ的なデフォルメタイプです。こちらはいわゆるケモナー好みのタイプで、頭骨の形が感じられる程度に原型の動物らしい造形のものを言います。
全体の傾向としては、
・作成時に使用されるファーに染色などは施さず、単色あるいは縫い合わせによって色が切り替えられている
・目が大きく、顕著にアニメっぽい表現になっている
・頭の形が多少まるみを帯びている
・牙がついていないか、実際の動物とは似ていない、記号的な形でつけられている
・手の指が4本である
などの傾向があります。
またゆるキャラや普通の動物の様相よりも表情の表現がわかりやすく、最も「獣人」という言葉が当てはまるのではないかと思います。うまく許可が取り付けられたら画像も掲載します。
コスプレイベントで見かけるのもこのタイプが多めですね。
レジェンズのキャラクターやデジモンポケモンは架空とはいえ、版権のデフォルメタイプに分類されると思います。

次点が実写・リアルタイプです。こちらはやや強面なリアルなきぐるみです。
・ファーに動物のような色ムラがある
・目がドール用、剥製用などのガラスまたはアクリス仕様のものだったりする
・ある程度図鑑で見るような動物の顔の形である
・歯列が現実のものに近い
などの傾向が見られます。
動物っぽいのでちょっと顔が怖いのですが、精巧な出来上がりを見ると思わずため息が出ると思います。
なぜか個人的な観測範囲では女性が多いのがこの傾向だったりします。

ゆるキャラタイプはいわずもがな、です。
しかしあまり好まれていない様子ですが、これは先ほどのファーソナというものが反映した先に、身動きの取りづらい、かつ動物的要素が小さいキャラクターが好まれないことがあるのだと思います。ファーソナについて話すと長くなるので避けますが、概ね知る限りのファーソナの表現は、人っぽい体型で文化圏に住まい、基本の振る舞いは人間的でありつつ、時々(人によって異なる要素から)動物のように振る舞う感触があるので、デフォルメタイプより動物感が失われてしまうと、キャラになってしまうのかもしれません。

ドール、と呼ばれる人間タイプもあります。
こちらはFRPなどで小さめの顔を作成し、肌に見立てたタイツ(通称肌タイ)を着用、その上からキャラクターの衣装を着るものです。
キャラクターショーなどで見かけることも多いですし、コスの一端としてTDCなどで歩いているのを見ることもあるでしょう。
この傾向の人たちは自分の体の維持がハンパないっす、いつも常にそれなりに痩せてるってどういうコトよホント。
今回回答者にいらっしゃったことにちょっと嬉しく感じています。
彼・彼女もまたきぐるみのひとつです。

ネタタイプと怪人、あと回答ないですがライダーやヒーローは総じて人気のあるポジションと思います。
コミケでもよく見かけますよね。なかなか楽しい。
このあたりには明るくないのですが、怪人の人たちにはいくらかのフェチッけを感じずにおられません(笑)

ビロウスは調べていただいた方が早いと思います。
日本初のオリジナル種族で、大きく裂けた口を持ち、恐竜に似た骨格で全体には狼のような印象の被毛を持つ、異星人です。ビロウスの住む世界には他の生き物もたくさんいますが、ビロウス種の人々が最も人気が高いです。
中でもR-18相当の要素を持つレイン将軍が人気ですね。
現在は海外でも人気があり、公式サイトは英語とかでも併記されてたような。

他にドール仕様のリアルタイプやアーティストのキャラクターというものもありますが、全体的にはやはりデフォルメタイプが多いです。
そしてデフォルメタイプはほぼオリジナルキャラクターと考えると、この辺でコスプレとは大きく違うんだなという感じです。

問8:キャラクターの選び方

コスプレ(112名回答)

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きぐるみ(87名回答)

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これはもう前項の内容が反映されていますね。
コスプレの方ではハマった中の何を選ぶか、どこを重視するか、ということが前面に出ていますし、衣装の好き嫌いやネタも少ないながらいらっしゃいました。
しかし顕著なのはやはり好きなキャラです。
が、次点は自分の顔や体型に似ている(あっている)キャラクター。これはコスプレのコスプレたる所以でしょう。自分の顔が出る以上はある程度の再現度を自分にも求める人がいるのだと思います。
あるいは自分の好きなキャラに関係のあるキャラクター、これも版権および二次創作の範囲でこういった関係性であってほしい、ということを再現したいために発生していると思います。

一方で、きぐるみの方は先述のFursonaまたは自作のキャラクターで占められています。
Fursonaと自作はまた別のものであり、Fursonaが内面の発露である反面、自作という場合は理想のキャラとかだったりするので自分とは乖離します。
あとコスプレと同じく、ある程度はネタを目指すというのもまたそれなりにいます。ネタの方向性は違うかもしれませんが、人と違うことをやることで注目度を高めようという意識は結構大事だなと思います。
またコスプレよりも再現という側面が少ないので、動きやすさや見た目、着心地も考えられています。
最後の一人はノロケです。羨ましい。

 

何がわかったのか

コスプレの人達は比較的常にそれなりの人口がいる状態が10年以上は続いていると言えそうです。
そして30代前後の方が多く、その人達の中でルール成型がされてきたのでは、という仮説が立てられそうです。
また、現状長くやっている人がそのまま続けている状況とも言え、若い人も年長層より若干少なめながらいることからすると、次第にカジュアルな趣味になりつつあるのかもしれません。

逆にきぐるみはここにきて成熟を始めた頃合いです。
商業化されてきたことでコスプレよりはハードルが高いながらも、購入という手段が確立されつつあり、また若い人の流入も盛んです。

人口的には圧倒的にきぐるみが少ない状況ではありますが、男女比は少し変わってきているようですし、今後もまだまだ変革があるでしょう。
その点、コスプレはそのコスプレ趣味の人たちの中でも差別化されてきて、もしかしたら新しい呼称とかも出てくるかもしれません。

 

というところで、序盤では変身願望の方向性に違いが見えてきました。
中盤はイベント参加に際しての内容がメインだったかな。
以降は任意の意見も述べられていきますので、どうぞよろしくお願いします。