変身譚録

人が何かに変身する作品について話してみる

忍び寄る悲哀と葛藤がすごい『パンダ探偵社』

どうも、夏休みですヨーソロー。2018FGOの夏は大周回エンドレスセブン。
さておきnoteへのお引越し作業を始めました。
一応過去記事のブラッシュアップもして、前にも言ってますが記事を投げ銭システムつきにしておこうかなぁという気持ち。
月に100円でも副収入が発生したりするかしら?という実験的な気持ちもありです。
上手くいかないと思ったらはてブロのアフィが入ります…お許しくださいね。
ホントね、適正なお金を出してくれないお仕事は死んでしまいます。

と、前置きはこんなところで。
今回はwebコミックサイトのトーチで連載中のこちら、『パンダ探偵社』です。

トーチweb パンダ探偵社

ざっくりしたあらすじ。
世界に突発多発性染色体変容という、人が概ね体の末端部分(皮膚とかから)動物化していき、最終的には心理的、知能的にも動物化していくという、不治の病が発生している中、主人公の半田は自らもジャイアントパンダ化を発症します。
病気が明らかになったことで仕事をクビになった半田は、高校の時の先輩である竹林に、自分の探偵事務所に助手として雇い入れられます。
その事務所は突発多発性染色体変容の発症者を対象とした探偵社であり、半田は様々な変容者に出会っていき……

という感じ。半田はパンダになりたくないので、動物化に対してネガティブです。
なので、半田は自身と同じ病気を発症した対象者に対し、状況や事情を無視した個人の感情で過保護というか、守ろうとするような行動が多く見られます。あるいは半田の思う最善を尽くそうとしているというか、読む人によってはイライラするか感情移入できるか二分されそうです。
一方、発症した対象者を数多く見てきた竹林や、ウエノ動物園の園長などは、なるべく穏やかに、平和に動物化していく方向を目指しているようにも見えます。そのためには、厳しく当たることも、放置を選ぶこともあるような印象です。こちらも、読む人によっては冷血に思えるか、冷静に思えるか分かれてしまうかもしれないな、と思います。ただ、彼らは仕事であり、また行政や規則に則った保護を考えてるからこその行動という感じでもあり、何をどうしていこうとしているのかな、と先が気になります。
そういった、病気に対して応対する人の側面や、家族、友人、あるいは孤独のようなものを描いて行くヒューマンドラマと言えると思います。

現在1〜4話が公開されていますが、2話を除き、肉体の変容が見られます。
シーケンスはグロテスクでな範囲で静かな病変のように描かれ、それぞれ罹患者を診る人(家族その他)についても描かれます。
1話は変容するまでの不安やストレスによる進行加速、2話は変容後の扱いについて触れ(自宅介護、専門機関での保護等)、3話は動物化した人の肉体の有利性、4話はその悪用(一種の暴走)について描いており、次第に半田にも変化が現れています。
シーケンスを楽しみたい人には不向きですし、また変化後に葛藤する元人間を楽しむということにも向いていないのですが、変化の過程に置ける周囲と自身の葛藤や、それについて受け入れる様子、あるいは生まれる悲哀などが面白いと思います。

次第に何かになっていく病気、というのはテーマとして目新しくはないのですが、それがじっくり進行して行く様子を、他人の視点から見つめて行く作品というのはあんまり多くないなぁと考えていますので、そういった意味でも大変面白い作品だと思いました。

 

ということで、今回は『パンダ探偵社』、でした。
単行本化楽しみだなぁ。