変身譚録

人が何かに変身する作品について話してみる

『とつくにの少女』人間性の喪失と特異点達の日常

どうも、職場には慣れたけど仕事の内容が結構複雑…そんな感じであわあわしてる日々です。


今回は『とつくにの少女』です。
マッグガーデンの中でも特異点化している作品のような気がします。

comic.mag-garden.co.jp

pixivコミックでも連載中ですね。25日にマグコミで更新中なので雰囲気だけでも読んでみるのも良いかと。


ざっくりあらすじ。

外つ国と内つ国が隔てられた世界。そこでは人間達が外つ国にいる外の者を恐れ、内つ国の壁を高く、門を固く閉じて生活していた。シーヴァもまたそう教えられてきた人間の少女であるが、彼女はセンセ(先生)と呼ぶ外の者と暮らしていた。先生はシーヴァに決して私に触れてはいけないと事あるごとに告げながら、ともに生活をしていくが…

 

という何とも味わい深い絵柄で綴られるお話です。ながべ先生はケモノ系同人誌や獣人系BLの商業誌も出しているのでご存知の方も多いと思うのですが、この作品はかなり異質で、トーンは少なく、ベタと白とのコントラストや、静かな書き込みによって成されている作品です。まさに、絵本の体裁とでも言いましょうか、コマも見やすい感じです。

 

先生の見た目が、鳥の骨に角と短い被毛を与えて真っ黒に塗りつぶしたような感じなのが可愛らしいです。
元より先生は自分が元人間であるということらしく、黒い外の者となっていった自分の様子について記憶しています。後に現れる外の者の登場で、本来語られている外の者は何かによって魂を集めているらしい事、先生は外の者にとっても異質であることも分かります。またシーヴァはその外の者に触れられてしまいますが、後述する呪われた姿になることはありませんでした。

 

最近になって、シーヴァのおばとの再会がありました。もちろんその為に先生から離され、最初は悲しんでいましたが、おばが元気づけていることを無駄にすまいとしていたようです。しかし、そのおばが外の者へと変わってしまいます。おそらく原因はシーヴァであろうと思われる描写もあり、村中が外の者の襲撃で阿鼻叫喚となる中、二人は先生の待つ家へ逃げて行きます。
おばの変身はシーケンス自体はありませんが、衝撃的です。彼女の手が真っ黒に染まっているコマ、そして呆然としたその顔は、古い哺乳類のように前へ突き出た顎の骨と、水牛のような角を持った、先生のスマートさに比べて無骨なものでした。
これが呪われて外の者になるという事のようです。

また2017/12の更新でカラスのような頭を持った外の者と化した兵士が二人現れています。感染する変身、痛みや死のない体への変貌がもたらすストレスの具合が見え隠れしていてなかなか面白い感じです。強い執着を持った彼が今後どうなるのか…と見所は尽きない感じです。

シーヴァは何故大丈夫なのか、先生だけはなぜ他の外の者と違って記憶を失っていかないのか、という特異点による物語。
今後も楽しみなので紹介してみました。
再び内つ国の人間が外の者となるようなシーンがあれば御の字、なくても楽しめるかと思います。

『とつくにの少女』でした。