変身譚録

人が何かに変身する作品について話してみる

『ブラザーベア』信仰による変身と珍しい末路

どうも、今回はクリエイターの方の紹介と二本立てです。
一つ前の記事もどうぞご覧ください。
で、私の書く方は『ブラザーベア』そして『ブラザーベア2』です。
ディズニーですしこちらをご存知の方は多いと思うのですが、2の情報を私も今知ったので(笑)ここで記録しておこうと思います。

 

ざっくりあらすじを。
イヌイットのキナイは三兄弟の末弟で、今年成人してトーテムが与えられた。しかしそのトーテムは愛を示す熊であったため、キナイはそれを嫌がって大人びた振る舞いで周囲を振り回してしまう。それが元で熊に襲われ、それを庇った兄のシトゥカを失ってしまう。熊への復讐に燃えるキナイは、見事それを成し遂げてしまうが、それと同時にグレイト・スピリットの中から兄のトーテム鷲(兄の霊)が現れ、その姿を熊に変えてしまう。村のシャーマン、タナナの言葉により、キナイは元の姿に戻るため、行き先を同じくする母熊と逸れた子熊コーダと共に「光が大地にふれる山」を目指して行く。

というストーリー。
この物語の結末を想像せよと言われれば、多くの人が「コーダは母親に会うことができ、キナイはそれを案内した善行から人間に戻れた」と言うと思うんです。
実際そういう話は結構あると思うんですよね。行いが人の人生を狂わせた野獣や、良心を見失ったピノキオのように、自ら反省に至れれば、その反省に応じて。

という説明をするのですから、当然元に戻れないわけです。
それも、反省が足りないとかそのような話がそもそもあったわけではないとか、そういうことではなく、キナイが自ら望んで熊としての生を受け入れるのです。
これはキナイが殺した熊や導きが関わります。

 

ということでキナイの熊化です。

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最後にはコーダと共に野生の世界へ向かう姿も描かれますが、あまり人里から離れていない場所で生活していたようです。というのが2で語られるストーリーです。
2はwikiからあらすじさらっちゃうと、キナイの幼馴染であるニータがキナイのもとを訪れ、結婚に際してキナイからもらったお守りをもらった場所で燃やさなければならないということに。なぜかキナイもそれに同伴することになり、グレイト・スピリットの力で熊と会話しながらその場所へ向かうというストーリーのようです。
最終的にキナイはコーダとの離別を望みませんが、コーダはニータがキナイを愛しており、キナイもニータを好いていることから、二人との離別を覚悟します。
が、ニータはキナイの気持ちを汲んだ上で自らが熊になることを選びました。
というシーンがこちら。

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シルエットシーケンスですが結構いい感じです。
もっと言うとアレですね、TF界隈でも稀で稀有すぎる話の構成なので驚きが勝るというか。
通常この手のストーリーは何度も言うようですが、人間の世界を善、幸せの世界としている傾向が強く、変えられたものは戻ることが定石です。
それをまさかヒロインにあたる女性まで熊にするというのは、なかなか挑戦的です。
最終的にキナイ、ニータ、コーダは一緒に暮らして行くようです。

 

TFして戻らないエンドっていうのは貴重ですし、そういう終わりももちろんアリなのだ、ということを大きな媒体で示してくれているのは嬉しいことですね。
ということで『ブラザーベア』の紹介でした。