『バニパルウィット 突然!猫の国』またはCatnapped
『バニパルウィット 突然!猫の国』との出会いはまさに突然でした。祖母に連れられて当時住んでいた地域の子供映画会、要するに公民館などで上映が行われたと記憶しています。私は落ち着きのない子供でしたが、映画の間静かにする事くらいは知っていました。それよりも何よりも、私は冒頭から十数分で起こる主人公と妹の変身の表現に目を奪われていたのです。
ということで突然始めました。
タイトルで検索すれば全編見ることができます。著作権的にはどうなんですかね…?
とつぜん!ネコの国 バニパルウィット -Catnapped!- 1/7
タイトルが前後してるのは何なんだろうかと思ったら、メディアはバニパルウィットの文字が先に目に入りますねこれ。
あとcatnapped!の方で検索するとYouTubeなどでも観られますので、環境や目的で使い分けられると思います。
ざっくりと説明すると、バニパルウィットというのは猫の国です。まんまですが、そこを訪れた人間は皆バニパルウィットの太陽を浴びる事でその辺にいる住人の猫と同じ、猫人間的な姿になります。なりますので当然変身のシーンが描かれます。口をクワッと開くと尖った歯が並んでいるシーンは検索後すぐに見つかりますし、同志がまとめているブログにも幾つか掲載があります。
そもそもなかむらたかしの動画が少し不思議な感じがあるので、苦手な方は苦手かもしれませんが、幼少の私には衝撃でした。何しろまだ当時恐怖の対象だったはずの変身が、ただそうなる場所である、として描かれたからです。しかも変身後も自分の意識を保ち、怪物化した飼い犬であるパパドールを探す為に奔走までします。いわゆる戦隊物でもロボット的な見た目以外の人外になれば大抵は悪に染まるか暴走するか無力化たというのに、一体これは……と幼心に混乱と期待にドキドキした覚えがあります。バニパルウィットに行きたい、とそう考える程度には。
バニパルウィットは他所の国からやってきた生き物を猫化させるだけでなく、二日目の太陽を浴びた瞬間怪物化させるという設定なので、行くこと自体は大分リスキーです。それなら一日、と思うくらいには憧れがありました。
さらに主人公であるトリヤスは無意識の内に猫としての身体能力を行使し、攫われた妹と飼犬パパドールを取り返します。
この物語において変身はポジティブにもネガティブにも描かれていますが、取り分けトリヤスの活躍とパパドールの暴走はハッキリとしています。またバニパルウィットの王女であるブブリーナは呪いによって触れたものを風船にしてしまう能力を持ち、バニパルウィットの物語の半分はそうした風船化した獣人や、風船化していく様子を見ることになります。他の世界から来て猫になっている者、物語においてはトリヤスと妹、そしてパパドールはその対象から外れるので、ブブリーナはより外から来た者に執着します。
ブブリーナの呪いや世界観の話など、やや唐突に感じられる部分もありますが、子供向けのアニメーションとして非常に優秀なTFを描いていると思います。
私の幼少期において、変身後がそのままの意思を持ち、かついわば正義の側である存在はもしかしたらこれが初めてだったかもしれません。同時期に『ゲンジ通信あげだま』などもありましたが、それもやはり悪側に加担していたのでノーカンだった可能性があります。それでもノットリダマス側が気になっていたので、三つ子の魂なんとやら。
と、話がそれたところでおしまいです。
良ければ是非バニパルウィットをご覧ください。