変身譚録

人が何かに変身する作品について話してみる

『Momo』『Hachi』『Banbi』獣人の生きる世界のBL

お久しぶりついでに日付をまたいでもう一つ記事を投稿しましょう。
どうも、諸々まとめは後ほどになります。
今ねFGOの虚月館殺人事件の推理で頭いっぱいなんだ、ちょっと休みたい。
マジ誰だよ〜!

てわけで関係ない話はこの辺にして。
タイトル通り、3つの同じ世界観のBLをご紹介したいと思います。

まず『Momo』。
こちらで試し読みができます。

www.cmoa.jp

シリーズの最初の作品である『Momo』。
モモ、とはフランス人のライオンの獣人です。
この作品の世界には、感情の高ぶり(人によってどの感情かは違うようですが)によって肉体が動物との間の子のようになる人種「獣種」がいます。人類に対して数は少ないようです。
ド級ドジッ子オーナーの流星にメロメロで、流星との愛を育むことに余念のない(ただし嫉妬や勘違いやすれ違いでよくお互いにアタフタしている)獣種のモモなんですが、モモはもともと性格がやや歪んでいるので、すぐ流星に意地悪なことを言ったりします。
ただ、この世界に置ける獣人は万能な存在ではなく、むしろ獣化すると不器用になったり、感覚が鈍くなったりしてしまいます。
さらに、モモは幼少期に怖がられて避けられていたという経験があるだけに、流星がトロくてもドンくさくてもモモにひたむきな感情を向けてくれることには応えようとします。
正直ストーリーの意味では「ああ〜801!すごい!801!」って気持ちになるのですが(私は恋愛のヤキモキも好きなんですが、紹介すると三行で終わっちゃいそう)世界観の構築や、モモが「流星さんが可愛い!」という気持ちが爆発して獣化するのはなかなか可愛くてイイです。

二作目が『Hachi』。

www.cmoa.jpこちらは流星のお店「エトワールフィラント」で働く、味覚障害のパティシエの名前です。彼は高校時代からの先輩である大熊とハナビと再会することで、過去に大熊、ハナビとの奇妙な関係を思い出していきます。
『Momo』に比べて3Pや互いの恋愛の温度差ですったもんだのドラマがあるのがこちら。
この中でハナビがハリネズミの獣種なのですが、表紙の絵からもわかる通り、わりとハリネズミらしい体型をしています。
なお変身のトリガーは落ち込んだり気持ちが塞いだりすること。
普段はハチよりも背が高いのですが、獣化すると非常に小さい。
体格が大きく変わるタイプの獣種は時々研究機関に行く必要がある、との記述もなかなかディープでそそります。獣化すると頭が痛くなったりするとか…
正直大熊の性格が奔放すぎでオメーが引っ掻き回してんだなってすぐわかる感じです。
なおハナビはちっちゃくても攻めです。可愛い…!

三作目が『Banbi』。

www.cmoa.jp

いつもBambiじゃねえの…?と疑問ですが置いときましょう。
実は二作目でハチが結ばれるのがハナビです。
身を引いたと言うか二人のイチャラブを見守ることにした大熊のお話になりますが、視点は主に鹿野(バンビ)です。
鹿野が可愛いめの男子であったり、私立校の生徒であったりすることから、小学生の時の失態(それも大熊がやらかしたことに驚いてのこと)を引きずる同級生に、激昂したところ変身して獣種であることが露呈する、という、バンビにとって大変辛い経験から、大熊を許せない(本心では許したい)、というところからお話が始まります。
大熊と久しぶりに再開し、次第に惹かれて…と書くとまぁ王道なのですが、割とバンビの勘違いが激しかったりちょっと強引にBL展開に持ち込まれている感じ。
そしてクマすがたのおせっせがないんですよね…そこだけは残念。(前二作はケモノ姿のおせっせがしっかりある)

上記三作品は変身自体はポンッなんですが、世界観がしっかり作り込まれていて、モモをはじめとした獣種の生活という話もちょこちょこ出てきたり、ハチの変身後の話やバンビが変身するたびに服を破ってしまう(これはモモもだけど)というあたり、生活に苦労しそうだなぁ…とかしんみりできるところもいいです。
以前紹介した『SEX PISTOLS』の斑類みたいに、人間より優位、というわけでもない当たりや、『COYOTE』のように敵対しているわけでもなく、一種の変わった人(たまにあらぬ誹りを受けたりもする)という視点が、このシリアスさを生み出しているのかもしれません。

以上、『Momo』とその連作でした。

劇団四季『ノートルダムの鐘』

どうも、お久しぶりです。
集計をしながらどうやって結果として掲載すればいいか悩んでるうちに2ヶ月経過しちまいましたね。
その間仕事でアワアワしたり向いてないのでは…と落ち込んだりの日々です。
まだ踏ん張るけど。まだやるけど。

そんなわけで友人が気晴らしに色々遊んでくれるんですが、先日劇団四季の『ノートルダムの鐘』を観てきました。
コチラ。

『ノートルダムの鐘』作品紹介|劇団四季


言わずと知れたディズニーコラボレーションの作品ですが、いくらかネタバレを含みつつお話しして行こうと思います。
なお、今回はケモノへの変身ではないので、ご興味がない方はゴーバックでございます。ごめんね。

 

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【コラム】変身願望を持つ人々(2)特にコスプレときぐるみについて

どうも、今回も前回の続きです。
質問とアンケートフォームが出来上がったので記載してみようかなーと思っている次第。
ということで前回お話しした予想についてお話ししましょう。
アンケート質問の意図については結果が出てからとしたいと考えています。


回答前に内容を見たくないぞ!という方は続きを見ない、または下の方にスクロールせずにお願いします。

アンケートはこちらになります。

コスレプレイヤー向けアンケート(全28問)

きぐるみの人向けアンケート(全28問)

回答期限は2/28までと考えています。

 

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【コラム】変身願望を持つ人々(1)特にコスプレときぐるみについて

どうも、今回も閑話休題です。
今回はリアルレベルの変身、特にコスプレと言われる文化圏の人々と、きぐるみと言われる文化圏の人々の話をします。
興味がない人もいると思うんですが、変身という本来人間には不可能に近い事象を、メイクや制作物によって行なっていく、という手法が私は自身でも行うくらいには好きなので、いい機会かと思ってまとめてみようと考えました。

先日友人であるガチマグロくんと、以下のような会話をしました。

 

 

 

 

 

 

 
コスプレときぐるみは相容れるか、という話ですね。
まず率直に言って、コスプレがきぐるみを内包することは可能だと感じました。
そしてきぐるみがコスプレを内包することは無理だろうという感覚がありました。
返答する前にいかなる理由からそう判断したか、それについて打開策はあるのか考えた上で、一回目の返事をしました。それが版権云々のあたりですね。

その後、時間をかけて考えた末、私の中ではコスプレときぐるみは同じ変身の世界でありながら、大きな乖離があり、似て非なるものであるため、相互理解は不可能であるとまで考えてしまった訳です。
現実的な話として、コスプレの世界は包括的にきぐるみを置く事ができるのですが、きぐるみの世界ではコスプレを受け入れられません。この辺、『けものフレンズ』がTFやケモノであるか否かという問題にも近く感じるなと考えました。

しかしながらあくまでも上記はコスプレ、きぐるみをそれぞれ10年以上続けてきた人間の意見であり、他の同じ趣味の人々がどう考えているかはよく分からない、というのが本質です。

と言うことで、グーグルフォームを使ったアンケートに踏み切ろうと思います。
コスプレイヤーときぐるみの人に答えてもらうことで個人が集め得る最大値のデータで統計を取り、どんな人達が、いかなる心持ちで一時的かつ自発的な変身を行っているのか、という、一つの指標としたいわけです。
ひとまずここに意思表明をした上で、調査前の私の考えを述べようと思います。

 

今回は前提条件のお話をします。
恐らくですが、コスプレイヤーときぐるみの人々はお互いにお互いが何者かを知りません。そしてお互いを違うものだと思っているでしょうし、もしかしたら自分がどのようなものかもわかっていません。まぁ私も自分がなんでレイヤーできぐるみなのか分かってないので、ここでこのブログに限定した一つの定義を決めてみたいと思います。

 

コスプレイヤーとは:
wikiのコスプレの項目によれば
「コスプレとは漫画やアニメ、ゲームなどの登場人物やキャラクターに扮する行為を指す。それらのジャンルの愛好者や同人サークルが集まるコミックマーケット同人誌即売会を始めとする各種イベント、また、ビジュアル系バンドのライブ会場等で見かけられる。コスプレを行う人をコスプレイヤー (cosplayer) と呼ぶ。」とのことで、概ね私の示したいものとしては一致しています。細かく分類すれば、オリジナルでも非実在(架空)の存在の衣服を着用したり、本人が「このような意図のコスプレである(例えば架空男女のデートを想定したコスプレというのもアリなのです)」と発言すればコスプレたりえます。
注意して欲しいのは、この項目の下部に着ぐるみが含まれていることです。着ぐるみは「キャラクターに扮する行為」であることは確かなので、傍目から見ればこの階層に含まれるものということになります。もちろんその判断に抵抗がある方も多いと思うのですが、実際には既にコスプレの下位(これは下であるという意味ではなく含まれる、というところです)のカテゴリなわけです。

今回は「一次創作・二次創作を問わず、何らかのキャラクターを想定した衣装の着用を行い、撮影、パフォーマンスを含むなんらかの活動を行う人々(ただし後述するきぐるみを除く)」を想定します。

 

きぐるみとは:
wikiの着ぐるみの項目によれば「着ぐるみ(きぐるみ)とは、人体着用ぬいぐるみ(じんたいちゃくようぬいぐるみ)の略で、人間が着用可能な大型のぬいぐるみを指す。友好親善イベントや遊園地のエンターテイメントショー、テレビ番組などで用いられる特殊衣類で、中に人間が入り、全身を覆い姿を変える演出で使用される。」とのこと。
大分類としてはこんなところです。
今回のテーマでは「一次創作・二次創作を問わず、何らかのキャラクターを想定した動物(ケモノ)の着ぐるみの着用を行い、撮影、パフォーマンスを含むなんらかの活動を行う人々」を想定します。
なお私は「着ぐるみ」をドールタイプや市販、ゆるキャラを含む広義の表現、「きぐるみ」を今回定義したケモノきぐるみに限る狭義の表現として、この項目の中で分けて使用します。

ということで大体の分類とします。

 

次にコスプレの人口について述べたいと思います。

アクティビティを度外視して、コスプレイヤーアーカイブというサイトを統計に使ってみようと思います。
コスプレイヤーズアーカイブ(以下、カイブと言います)は、日本のコスプレ黎明期、揺籃期を終え、ある程度の確立期(この辺の評価についてはこの記事の一番最後に付記しておきます)に入った頃にできたサイトです。Cure(現在Cure WorldCosplay)との差別化を計りながら出来上がったSNSで、当時のコミュニケーションの台頭だったmixiとよく似た作りになっています。コスプレイヤー(以下、レイヤーと言います)の利用に特化している為、サイト内にイベント情報やユーザー同士のやりとりが可能なフリーマーケットなどが設置されています。
なおCureを参照しない理由ですが、かの媒体は現在の登録人数をサイト上に開示していないようです。この為、統計が非常に取りにくい状況にありました。その為、今回はカイブのみを参照としています。

カイブには
325094人(2018/01/21 18:28時点)の登録者がいます。
内、
男性レイヤーが14476人、
女性レイヤーが149530人、
で、総合ユーザー数の約半数を占めています。
そして
プロフィールに「カメラ 撮影」の2つのキーワードを含む登録者を暫定カメラマンとします(カメラも撮影もしませんが登録しましたというタイプもいるのは承知しています)。
男女合わせて4986人
が、カメラマンです。
残りは閲覧者です。
カイブの多くのページ(ユーザー設定による)は、登録者またはフレンドを対象にしているという個人的な感覚があります。その為、閲覧のみでも登録している方はいます。
上記の数値から、レイヤーは女性9割の世界であることが分かります。
そして日本語がわかるユーザーだけでも15万人が存在し、
カメラマンとしてコスプレイヤーと交流する人物が5000人近くいるということがわかりました。
コスプレという趣味の規模が非常に大きいことがわかります。

 

次にきぐるみの人口です。

JMoFという3日間ホテルを使用するイベントが日本にはあるのですが、恐らくきぐるみを含むケモノオンリーイベントとしては最大級と思われます。
このホテル内を使用するスタイルは海外のFur(Furry/日本語ではケモナーに相当すると思われます)のCon(コンベション/コミケのような感覚で、プロアマ問わずの各種サークル参加者とレイヤーに相当する人々、また参加者の集う場)と呼ばれるイベントが、アメリカやドイツ、スペイン、ロシア、フィリピンと各国で年数回、それぞれの主催団体の主導で行われており、そのスタイルを取り入れたものです。通常の即売会やコスプレのイベントは概ね最速で朝集合夜解散なのでだいぶ毛色が違ったものになります。
日本では他にも小規模なConやKemoconと呼ばれる起源の古い(前進にとらんすふぁというイベントの存在のある)イベントもあるのですが、今回はこのJMoFを参照してみましょう。

まずJMoF公式ツイートを参照します。

 JMoF 2018の総参加者数998人とのこと。
なお前年のJMoF 2017の総参加者数は845 人。
海外からの参加やきぐるみなしの参加の方が含まれた総数であり、実際のキャラ数ではありません。
恐らくですがキャラ数は400くらいかと思われます。おそらく、というのは、全体数はスタッフしか把握し得ない情報になっている状態だからです。
しかしホテルの部屋数や写真をざっと見た感じ、概ねこんな数字ではないかな、という判断をしています。コスプレイヤーとは比較にならないほどの少人数ということになります。また、その少人数の内、女性が100人いるとは考えにくい状況にあります。よくて50人、少なければ20〜30といったところでしょう。これは個人観測範囲で申し訳ないのですが、この手のケモノきぐるみを所持している、と公言している女性をtwitterで検索しても30人を超えないな、という感触でいるからです。
男女比もコスプレとは真逆となる訳です。
丁度
コスプレが男1:9女、
きぐるみが男9:1女
という構図です。私はよく「きぐるみは8割男性」と言ってましたが、事実上9割ということになりますね。

 

コスプレ、きぐるみは、いずれも衣装となるものを持ち込み、更衣室にて着替えをし、しかるのちに出来上がった自分を楽しむという趣味なのですが、数値の面だけでもかなりの相違が発生しています。
余談かつ私の個人観測ですが、TDC(東京ドームシティ、恐らく収容数は最大級で都内イベントでは2位の人気/1位のアコスタについては別に記述します)では4年ほど前にやっと男性更衣室がそれなりに広くなりましたが、依然女性更衣室の半分あるかないかという大きさです。覚えている限り一番古い10年前のTDCのイベントでは、女性更衣室のテントが奥行きが広かったのに対し、男性更衣室テントは大型のテント一つ分という狭さでした。
対してきぐるみですが、JMoFは自室更衣が可能なので統計が取れませんので、錦糸町で行われたKemocon4thを例に上げてみます。あくまでも私の参加した時ですが、こちらは男性更衣室が大きなホール、女性更衣室は会議室といったところでした。また先述したとらんすふぁに遡ると、その折は川崎の会館で女性の更衣室には小会議室を使用した記憶があります。

いわばコスプレときぐるみは人口と、そこから派生する施設の使用状況から考えても、真逆の仕様ということになるわけです。

 

人口と男女比が分かったところで、次に活動傾向について述べてみたいと思います。

まずコスプレの活動傾向です。
レイヤーには大枠として「遊戯派」と「撮影派」がいるものとします。
はっきりと明言されているものではないのですが、レイヤーはコスプレをした後の活動の傾向が顕著に違います。またさらに小さく分ける部分もあるので、以下にその傾向を記述してみます。
コスプレをして交流や施設を使用して遊ぶことが主眼の人々を「遊戯派」と定義してみます。
「遊戯派」には標準のカメラ(スマホコンデジ)で自分達の姿を撮影しつつ、レジャー施設(TDC、としまえんなど)であればそのアトラクションを楽しむ人々がいます。その人達を「遊戯派交流レイヤー」とします。大体お一人ではなく友人達と楽しむことが主点になることからです。
「遊戯派」にはさらに、TDCその他のイベントの中でホールにて行われるダンスパーティに参加することをメインの目的とした人々がいます。それを「遊戯派ダンパレイヤー」とします。彼らは一人でも遊びに来て、創作パラパラやいわゆるユーテクのダンスを楽しみます。
「撮影派」はその名の通り撮影をメインとする人々です。その中でも作品作りとその出版を行う人々を「撮影派出版レイヤー」とします。
ではそうではない人々もいるのか、といわれるといます。
「撮影派」のレイヤーの中には、顔見知りとだけ楽しみたい、あるいは出版はしないが作品作りがしたいという傾向の人々がいます。大体はイベントではなくスタジオやロケで撮影をしている場合が多いので、「撮影のみレイヤー」としてみましょう。
いずれも活動の内容を卑下したりする意味でのことではなく、活動傾向なので、複数にまたがっている人もいるものとします。

次にきぐるみの活動傾向です。
きぐるみには概ね「グリーティング」と「チャリティー」の人々がいると考えられます。
「グリーティング」はディズニーリゾートなどでも言われるように、キャラクターとの交流です。交流することに重きを置いており、自分達の楽しみが優先される人々を、私はあえて「グリーティング派」とか言ってみることにします。
「チャリティー」は公益的な活動・行為という名目ですが、この場合は「チャリティー派」として交流対象をケモナーとしない人達、あるいはボランティアで各種イベントに参加したりする人々を示してみます。
しかしJMoFやKemoconへの参加は概ね「グリーティング派」であり、あえて「チャリティー派」の人々に触れる必要はないでしょう。というのも、彼らは割と自発的にコスプレイベントに参加していたり、各地のイベントにアトラクションとして参加したりしていることが多い(少なくとも5年くらい前には見かけていた)からです。
「グリーティング派」の分類はそれほど必要がない、というか、あとは概ね制作段階や個々の思想の話になるので今回は割愛とします。

 

コスプレにおける衣装の分類について考えます。
コスプレはwikiの項目にあるような分類がなされるわけですが、ここではあえて
「二次創作タイプ」
「一次創作タイプ」
「性的タイプ」
という三つのタイプに分けてみます。
「二次創作タイプ」は名前の通り、同人活動的な側面が大きなタイプです。レイヤーの中ではもっとも数が多い人々であり、さらに「自作派」「購入派」に分けられたりします。大体は自分の今所属するジャンルに合ったイベントやスタジオに出向き、活動を行います。
「一次創作タイプ」は主催する一人ないし参加者が協力し、自分達の創作する世界観を表現するタイプです。いわゆるポートレイトとの違いとして、異性装や奇抜なウィッグの着用など、架空のキャラクターである符号を持っていることが多いことが挙げられます。とはいえボーカロイド作品『Just be friends』みたいな世界観を友人男女で表現したい!となればほとんどポートレイトなので、その写真にいかなるストーリーを持たせるかなどがポイントになるのかもしれません。
「性的タイプ」は一般的にはレイヤーとしてカウントされないのかもしれません。うしじまいい肉さんのような露出が過多であったり、既存キャラクターの露出を増やしたりして、性的なアピールを行うタイプのレイヤーです。性行為まで発展しているかどうかは当人のみぞ知るところなので私としてはよくわかりません。少なくともそう言った際どい、あるいはアダルトな撮影が行われている事実は観測できるので、分類してみています。なおAVへ出演している女優さんのコスプレは観測範囲外です。

きるぐるみにおける制作分類については
「一次創作タイプ」
「カスタムメイドタイプ」
「二次創作タイプ」
「性的タイプ」
に分けられると考えています。
「一次創作タイプ」はもっとも数が多い、原作を持たないキャラクターを作成し、自己の内面の露出として着用するタイプです。「自作派」「購入派」が存在し、自分で自己のFursona(以下、ファーソナと言います)と呼ばれるケモノとしての人格(Fur+Parsona)を作り上げるか、誰かにファーソナをデザインとして委託してオーダーメイドで制作を頼む形が多いです。もちろんキャラはキャラとして切り離して考えている方もいるので、全てがファーソナではあり得ませんが、ある程度自分の内面にあるケモノ像を表に出す行為ということでは共通すると思います。
「カスタムメイドタイプ」とは、一部の業者、製作者で最初からある程度準備されたモデルに対し、自分が着用可能な形にサイズの変更や、許可される範囲のアレンジを注文し、購入するタイプです。オリジナルのデザインを用意する必要がないため、楽に自分の新しい姿を購入することができます。一方で大変値が張ることも確かです。
「二次創作タイプ」はいわばコスプレのきぐるみ版です。ポケモンやマイリトルポニーを始めとした各種原作のあるキャラクターの姿を作成(購入)し、それになりきるものです。はっきしりたキャラ性を獲得したものよりはぼんやりしたもの、例えば性格が個体ごとに違うポケモンが好まれているような傾向はあるな、と考えられます。
「性的タイプ」とは、名前の通りセックスを始めとするアダルトな行為に利用されるものをいいます。実際の行為の様子などがインターネット上にアップロードされていることがあったり、それ専用として作られたものが存在しているため、一応の分類を行いました。恐らくコスプレのイベントなどでは遭遇することはないはずなのですが…。

 

分類はこんなところでしょう。
上記の中で、主に今回は交流派に分類できる「遊戯派レイヤー」と「グリーティング派きぐるみ」の人々に焦点を当てる形になるかなぁと思います。
ひとまずはこんなところでしょうか。
次回は質問の内容が決まったところで、その質問に関して私の個人観測から得られる数値を当てはめていくことをしてみようと思います。

 

しかし世にはこんなに変身したい人たちがいるんですね。そしてその多くは女性です。女性の方が簡単に変身に乗り切るのは一体どういうことなのでしょう……見た目を飾ることが恒常化しているからなのか、それとも?
いずれその辺にも触れてみたいですね。

新年明けましておめでとうございます…した

本年もどうぞよろしくお願い致します。

ということで正月も終わっちまいましたね。
犬TFのイラストでも描こうと筆をとったんですが、さっぱりダメでした。

今回は簡易なご案内程度で。

過日紹介しました『魔法使いの嫁』、前回放映からその次とその次辺りがチセの変身回ですかね。若干テンポの悪いアニメなのでしんどい方もいるかもしれませんが、恐らくシーケンスが描かれる、あるいは納得の行く変身具合であると判断できる可能性がありますので、是非見てほしいところです。おちりがかわいいんですよ、おちりが。

また完全に余談の域を出てないのですが、以前からこの方はコチラ側では、と思っていた藍本松先生の『怪物事変(けものじへん)』、メインキャラクターの中に狸や狐と人間のハーフみたいな立ち位置のキャラがいる事を一巻無料のキャンペーンで読んで知りました。もともと『MADDY』という意思と感情を持ったゴーレム(泥人形)がかなりいい感じの変幻自在さを出している他、猫と人間を掛け合わせようとする実験の話などもあり、肉体の変容や種を超えた交わりについて描いていくタイプかもしれないとは思っていたので、続刊を買っていく予定です。
またまったくの余談中の余談ですが『ハクメイとミコチ』のアニメが始まっています。こちらものんびり小人生活を楽しめるいい本がアニメ化で、さらに本日新刊も発売されています。今からアマゾンでポチります。

ということで新年のご挨拶でした。

今年はいっぽんくらいTF作品を出したい所存。TSFかもしれんけど。

『とつくにの少女』人間性の喪失と特異点達の日常

どうも、職場には慣れたけど仕事の内容が結構複雑…そんな感じであわあわしてる日々です。


今回は『とつくにの少女』です。
マッグガーデンの中でも特異点化している作品のような気がします。

comic.mag-garden.co.jp

pixivコミックでも連載中ですね。25日にマグコミで更新中なので雰囲気だけでも読んでみるのも良いかと。


ざっくりあらすじ。

外つ国と内つ国が隔てられた世界。そこでは人間達が外つ国にいる外の者を恐れ、内つ国の壁を高く、門を固く閉じて生活していた。シーヴァもまたそう教えられてきた人間の少女であるが、彼女はセンセ(先生)と呼ぶ外の者と暮らしていた。先生はシーヴァに決して私に触れてはいけないと事あるごとに告げながら、ともに生活をしていくが…

 

という何とも味わい深い絵柄で綴られるお話です。ながべ先生はケモノ系同人誌や獣人系BLの商業誌も出しているのでご存知の方も多いと思うのですが、この作品はかなり異質で、トーンは少なく、ベタと白とのコントラストや、静かな書き込みによって成されている作品です。まさに、絵本の体裁とでも言いましょうか、コマも見やすい感じです。

 

先生の見た目が、鳥の骨に角と短い被毛を与えて真っ黒に塗りつぶしたような感じなのが可愛らしいです。
元より先生は自分が元人間であるということらしく、黒い外の者となっていった自分の様子について記憶しています。後に現れる外の者の登場で、本来語られている外の者は何かによって魂を集めているらしい事、先生は外の者にとっても異質であることも分かります。またシーヴァはその外の者に触れられてしまいますが、後述する呪われた姿になることはありませんでした。

 

最近になって、シーヴァのおばとの再会がありました。もちろんその為に先生から離され、最初は悲しんでいましたが、おばが元気づけていることを無駄にすまいとしていたようです。しかし、そのおばが外の者へと変わってしまいます。おそらく原因はシーヴァであろうと思われる描写もあり、村中が外の者の襲撃で阿鼻叫喚となる中、二人は先生の待つ家へ逃げて行きます。
おばの変身はシーケンス自体はありませんが、衝撃的です。彼女の手が真っ黒に染まっているコマ、そして呆然としたその顔は、古い哺乳類のように前へ突き出た顎の骨と、水牛のような角を持った、先生のスマートさに比べて無骨なものでした。
これが呪われて外の者になるという事のようです。

また2017/12の更新でカラスのような頭を持った外の者と化した兵士が二人現れています。感染する変身、痛みや死のない体への変貌がもたらすストレスの具合が見え隠れしていてなかなか面白い感じです。強い執着を持った彼が今後どうなるのか…と見所は尽きない感じです。

シーヴァは何故大丈夫なのか、先生だけはなぜ他の外の者と違って記憶を失っていかないのか、という特異点による物語。
今後も楽しみなので紹介してみました。
再び内つ国の人間が外の者となるようなシーンがあれば御の字、なくても楽しめるかと思います。

『とつくにの少女』でした。

現代の『変身ものがたり』渡辺ペコ

どうも、新しい職場で慣れられるかなぁと思いながらのんびり日々お仕事の研修をしています。
ちょっと前の『もふかのポプリ』の更新ご覧になりました?
変身後の躊躇いでお風呂に入れないとか可愛すぎるでしょ…そして尻尾穴開けまくったりとかさ…服…ちょっとあとで項目に更新入れておきますね。

てとこで、今回は『変身ものがたり』です。『にこたま』の広告を見て思い出したのでのんびり語っていきましょう。

まずはいつもの試し読みページ。

と思ったら『変身ものがたり』は試し読みがないんですね。
紹介ページだけはあるようなのでまずそちらを。

www.akitashoten.co.jp


しかたないのでシーモア(私が契約してるからですが)の試し読みをば。

www.cmoa.jp

個人的には『ランダバウト』好きなんですよね。ジュブナイルとか学園もので空気が悪くなってる感じ、嫌いじゃないから。あと『1122』と『にこたま』はレディコミだと思ってないで一度読んでもいいと思います。

というのもですね、この渡辺ペコさんという作家の方は、生々しいくらい如実な人の心理や心境というのをぶつけてきます。綺麗事で済ませない話を出してきて、そして綺麗事で終わらせない。絵柄の爽やかさ、軽やかさと裏腹に非常にキツいテーマできます。

『変身ものがたり』は八つの短編集からなる変身譚です。
ざっくりどういう経緯で何に変身するかを書き出します。
「平成人魚」ある日突然現れた人魚と名乗る女性、彼女は確かにある少年が昔助けた人魚だった。彼女は人間社会並みに色々と進歩している人魚の世界に別れを告げ、あの時の少年の元へ向かう。人魚→人間。
「狼少年」アトピーに悩む主人公(男子高校生)はある日「どうせなら綺麗な毛皮だったらいいのに」と思い込んだ折に身体が変化していることに気付く。アトピーを気にせず走り回る楽しさで公園を駆け回った後、戻るところを女子高生に見られてしまい…人→狼(四足歩行)で最後は不可逆です。
「したのうえ」主人公はある朝楽しい夢を見たな、と思いながら起きると、口の中で舌がくるくるピチピチと音を立てながら回転していた。話すこともままならないながら、彼女はマスクをして会社に出かけていく。ポリープを取るので、取ったので、と誤魔化すが…変身というよりは状況の変化です。
「毒りんごパイ」母親とソリの合わない主人公(女子大生)。食事に行くことになった折、友人の男を連れて行くことにする。母はあなた好きだったわよね、とりんごのパイを持ってきていて…こちらも状況の変化、上記のものより全然柔らかいです。
「毛玉」同棲中の彼女が身体中から毛が生える病気になった。次第に毛の量が増え、小さくなって行く彼女。最後には小さな声がする目玉だけになってしまう…人→毛玉。ちょっと不気味。
「はらの顔」主人公の腹にはずっと顔のようなあざがあった。ある日そのあざは話しかけてきて…人面疽のような話。
「黒い人」出版社に勤める主人公。ある日残業中の夕飯の買い出しに出かけると、都市伝説のはずの黒い人に遭遇する。しかし彼は主人公の名前を呼ぶのだった。人→文字。ホラーだけど切ない。
「変身不全」最初のお話の元人魚と男の生活の話。勃起不全に陥っている彼には悩みがあった…勃起を変身と言っていいのか。いいんでしょう。男の人にとってある種切っても切れない一つの本性をさらけ出す事象だものね。

 

といった感じで、全てのエピソードが何かの変容を扱っています。
もちろん我々的には「狼少年」が一番グッときちゃうのはどうしようもないのですが、それ以外も少女漫画やTLコミック、あるいはレディコミとはちょっと違った日常にある静かで波の小さなネガティブな感情と、それによって次第に引き起こされる大きな波のようなものを描く作家さんだと思っていて、それがなんとも魅力的何ですよね。
私は庄野潤三の『プールサイド小景静物』とか好きなので、こういうノスタルジックで重みのある話が好きなんでしょう。
「狼少年」が最後に狼から戻らないで、彼女を待つ選択をした時に、彼は今後どうなるのだろうということに長い時間思いを馳せていたことを思い出しました。
あまり元サヤだったりハッピーエンドだったりしないところがいいのかもしれません。

ということで、『変身ものがたり』でした。